はじめに

アメリカ以外の金融政策への警戒感が高まる

そして6月はアメリカ以外でも利上げが多く行われました。なかでも、春先は年内の利上げを模索していたECBが7月からの利上げを表明したほか、マイナス金利政策を実施するスイスも約14年ぶりの利上げを実施したのは、サプライズといえるのではないでしょうか。特にスイスの利上げはFOMC後のマーケットが不安な中での材料となり、リスクオフの動きを誘発しました

スイスの政策発表に対するマーケットの動きを見ると、アメリカの金融政策だけではなく、他国の金融政策もサプライズとなることが考えられます。2月に勃発したウクライナ侵攻を皮切りにインフレ圧力は世界的に高まっており、相対的に緩和的な政策を選好していた地域でも利上げ等の引き締め施策を余儀なくされています。

先にも触れたように、アメリカの金融政策は注目度が高いですが、思わぬ相場の波乱に巻き込まれないためにも、今後は幅広い地域の金融政策動向に一層目を向けるとよいでしょう。

日本は緩和継続で株には追い風も、円相場には要注意

世界的に利上げの波が押し寄せている中、気になるのが日本のスタンスです。日本においてもインフレの懸念は出始めていますが、その中でも日銀は粘り強い金融緩和を続けるとしています。6月16-17日に開かれた金融政策決定会合にて、他国の動きを踏まえて政策変更があるか期待されましたが、大規模緩和を継続する方針が維持されました。

他国との足並みがそろっていない中、年初から進んでいる円安の一段の進行には注意が必要です。円安による輸入物価の上昇によって、懸念されているインフレが長引くと国民の不満が高まり、現状において数少ない安心材料ともいえる、政権運営にも逆風となる可能性があります。

今後の国内の注目ポイントとしては、参議院選挙が挙げられます。現状、岸田政権の内閣支持率は60%ほどをキープしておりますが、政策論争の行方次第でどう変化するか、当然ながら7月に予定されている投開票まで結果はわからないでしょう。政治の不透明感はマーケットに嫌気されるため、状況次第では日経平均も売り仕掛けの材料とされる恐れがある点にも留意が必要です。

多方面で不確実要素が多くなっていますが、事前に状況を整理し、慌てないように備えておくとよいのではないでしょうか。

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