はじめに
世界の運用資産規模ランキング
世界全体の運用資産はどれくらいの規模になるのでしょうか。世界の運用資産ランキング上位10社を、2019年末と2020年末で比べながらみてみましょう。
世界の運用資産規模トップ500社の運用資産残高の総額は過去最高の119.5兆ドルを記録しました。2019年末に初めて100兆ドルを超えてからさらに大きく資産を増やしています。
・世界の運用資産ランキング・トップ10
※プレスリリースより筆者作成
(ウイリス・タワーズワトソンのインベストメント部門・米国の主要運用専門誌Pensions&Investments、世界の運用会社資産規模トップ500社の調査レポート)
世界3大運用会社といえば、2019年のトップスリーでもあるブラックロック、バンガード、ステート・ストリートを指すことが一般的であり、これらトップクラスの運用会社は、米国会社四季報などを見ても、株主として頻繁にでてきます。主に投信やETF(上場投信)を通じて、アメリカの上場企業の40%ほどの企業の株主となっています。
運用資産残高の左端最初の一桁は「兆ドル」を表しています。2020年ランキング1位のブラックロックであれば、8兆ドル超(6月8日時点の円換算で約1100兆円超)になります。2位のバンガードは7兆ドル超(同約900兆円超)です。
日本の経済規模を表すGDP(国内総生産)が約5兆ドル弱(550兆円)ですので、たった1社だけで日本のGDPを超えてしまう運用会社が、世界には2社もあることに驚かれるのではないでしょうか。
では、2019年をベースに上位ランクの会社について特徴を簡単にご紹介します。
・第1位:ブラックロック(7兆4296億32万ドル)
ブラックストーンの債券運用部門として1995年に誕生し、買収を重ねて大きくなっています。ETF(上場投資信託)において世界トップクラスのブランド「iシェアーズETF」を抱えています。共同創業者で現CEOのラリー・フィンク氏が率いています。
・第2位:バンガード(6兆1519億20万ドル)
「インデックス・ファンドの父」といわれる創業者の故ジョン・ボーグル氏が、1976年に世界初の個人投資家向けインデックス・ファンドを売り出しました。バンガードは上場企業ではなく第三者株主も存在せず、バンガードのファンドに投資をする投資家がバンガードの保有者になる仕組みで経営されています。
・第3位:ステート・ストリート(3兆1164億24万ドル)
世界ではじめて設定したETFのSPDRシリーズ、「SPY」(SPDR S&P 500 ETF)があります。現存する銀行としては米国国内で2番目に古い歴史を持つ金融機関で、大手機関投資家および各国政府との取引がメインです。
・第4位:フィデリティ(3兆431億34万ドル)
株式非公開の同族経営による独立系資産運用グループで、資産管理業務に強いです。伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチ氏が1977年にスタートしたマゼランファンドは世界規模に成長しています。