はじめに

老後にかかる支出の内容は

まず、老後にどれくらいのお金を準備したらよいのかを考えてみましょう。老後の生活を考えるにあたり、大切なことは、老後の生活を具体的にイメージすることです。老後の生活の主な支出は、(1)日常生活費、(2)臨時出費、(3)医療費・介護費です。

老後の日常生活費の年間支出は、現在の1ヶ月の生活費を12倍すれば、おおよその金額がわかります。ただし、老後の生活費は現役時代の生活費の7〜8割になるともいわれます。総務省統計局「家計調査」(2019年)によると、70歳以上の生活費は現役時代(50〜59歳)の生活費の68.1%となっています。このことから、現在の生活費の7割として試算してもよいでしょう。

考え方としては、老後の年間収入から老後の年間支出を差し引いた金額が年間で足りない生活費の金額となります。そこで、老後の年間収入の柱となる年金の金額を、ざっくりとでもよいので、ねんきん定期便やねんきんネットなどを利用して確認しておきましょう。

老後の生活費はいくら必要?

ご相談者さんの年金加入の詳細がわからないので、参考までに2019年の家計調査を利用して、1ヶ月の生活費の平均とそこからわかる老後までに必要な金額を見てみます。

高齢夫婦無職世帯の実収入の平均額は、23万7,659円、支出の合計(消費支出+非消費支出)は、27万929円ですから、毎月の不足額は約3万3,000円。この収入・支出が65歳から90歳までの26年間続くとします。これに加えて、医療費や介護費用を準備しておきたいところです。目安は1人あたり500万円です。さらに、臨時出費として「家具・家電の買い替え」「家のリフォーム代」「レジャー費」「冠婚葬祭費」「子どもの結婚資金の援助費用」「孫への援助費用」などがあります。

上記を踏まえると、65歳まで働き、持ち家を前提とすると、老後までに夫婦で2,000万円〜2,500万円を準備しておくのが一つの目安となります。

今後の教育費を「見える化」する

老後までに準備したい金額を把握したところで、次に把握しておきたいのが今後かかる教育費です。長男、次男それぞれの今後の教育費について考えます。

長男は、現在5年生の高等専門学校に通っておられるようですが、卒業後は、国立大学の3年に編入し、大学卒業後は大学院に通いたいそうです。1人暮らしとなるため、仕送りが必要になるのですね。

ちなみに、国立大学の理系の学費は、私立大学等の平成30年度入学者にかかる学生納付金等調査結果を見ると、入学金が28万2,000円、年間の授業料が53万5,800円。上記の金額から2年間の大学の学費は約135万円となります。

次に大学院の学費ですが、国立大学の大学院の場合は、大学の学費とほぼ同じところが多いため、2年間の大学院の学費は約135万円となります。したがって、大学、大学院の学費の合計は270万円となります。

一人暮らしの学生の生活費はいくらかかる?

次に考えたいのが、長男の大学進学後の生活費です。全国大学生活協同組合連合会の「第56回学生生活実態調査の概要報告」をみてみると、1人暮らしの学生の生活費の平均は約12万円となっています。ご相談者さんの仕送り金額の予定が4、5万円とのこと。足りない分は、長男に奨学金を借りてもらうことなどで調整を考えていらっしゃるようですね。

仮に仕送り代を毎月4万円とすると、4年間で192万円。学費と合わせると462万円となります。長男に生活費の節約をしてもらったり、奨学金を数万円程度借りてもらったりする必要がありますが、長男のために準備していた400万円でほぼ賄うことができます。

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