はじめに

FIRE後は確定申告すべき理由

「源泉徴収あり」で事前に引かれている税金は、配当金の場合は下記で計算されます。

所得税15.315%+住民税5%=20.315%

この配当金について、所得税の確定申告書に記載して申告を行うと、まず所得税の計算では全員が48万円の所得を引いてもらえる「基礎控除」という控除があるので、その分の税額が減ります。また、所得(もうけ)から控除を差し引いた残額が、195万円までは税率が5%であるため、当初の15%ほどから税率が下がります。しかも日本株の場合は、さらに「配当控除」という控除を配当の10%分受けることができて税額から引いてもらえるので、源泉徴収されていた税額が全て返ってくるというケースもあるのです。

所得税は「超過累進課税制度」といって、所得(もうけ)が多い人ほど税率が上がっていく仕組みです。この税率を求める基本となるのが、「所得(もうけ)―控除(引く項目)=課税所得(税金がかかる差額)」です。給与である程度所得があった場合は、そこに上乗せして配当所得を計算することになるので、税率が上がってしまうケースもあります。

しかし、そんな給与所得がなく、配当所得だけになると、確定申告をすることで還付税額がたくさん出ることもあるのです。実際に申告してみると還付があるかどうかは、国税庁のウェブサイトに所得税の確定申告書を作成できるページがありますので、試しに入力してみるのも良いかもしれません。


立場や状況によって変わるので、一概には言えませんが、税理士の観点から、退職月は4〜5月頃、証券口座は特定口座「源泉徴収あり」にして確定申告することが、損をしない一つの正解ではないかと考えます。いずれにせよ、「FIREを目指す」といっても、タイミングや申告方法で、大きな違いがあることがわかっていただけたのはないでしょうか?

せっかくお金の知識をつけてFIREを目指すのなら、税の知識も身につけて余計な税金を払って「なんて……嘆かわしい!」とならないよう、マネーリテラシーを上げて、生き抜く力をつけたいですね!

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