はじめに
(1)現在の家計は適正か?
家計状態ですが、手取り収入が57万円(夫27万円+妻30万円)で、支出が35万円、15万円が貯蓄額で、7万円ほど使途不明です。使途不明金が多いので「何にいくら使っているか」を把握しましょう。資産形成の一番の基本になるので、家計簿を活用して把握する力を高めると良いと思います。特に家計簿アプリを使っている人に多いのが、自動で集計されるので「なんとなくわかった気」になって家計の見直しをしない方です。集計されたデータはあくまでデータでしかなく、それを活用しなければ意味がありません。把握したデータからご自身の使い過ぎポイントを見つけ、支出を改善していきましょう。
毎月の貯蓄額は15万円とのこと。57万円の収入の26%にあたり、大変頑張っておられますね。「公園の父」と呼ばる本多清六は、投資家でもあり、莫大な財産を築きました。彼の貯蓄法は「収入の4分の1を貯蓄すべし」というもの。この基準をクリアされているは素晴らしいと思います。
資産全体のバランスは?
資産全体をみると、1,400万円が現金貯蓄で、運用資産は12万円です。資産のほとんどが日本円なので、グローバルな視点で見るとバランスの悪い状況にあります。現金は安全資産であると思われがちですが、資産が現金に偏っていると、知らず知らずのうちに資産価値が少なくなることがあるからです。
インフレと円安対策も考えておこう
その原因の一つがインフレーションです。長期的に見ると平均的な世界の物価上昇率は2%ほどです。日本銀行も日本のインフレ目標を2%にしています。
特に今年は戦争や原油問題からインフレが進んでいますが、物価の価値が上がると相対的に現金の価値が小さくなります。100円で買えたものが110円出さなければ買えなくなれば、物価が上がったと同時に現金の価値が下がったことになるからです。株式や金、不動産など比較的インフレに強い資産をもつことで対策ができます。
また為替が円安に進むと円の価値が少なくなります。現在は日米の金利差が開く中で円からドルにお金が流れて、円安が進んでいます。この半年で20%以上も円安が進んでいますが、これは基軸通貨である米ドルからみた日本円の価値が20%以上少なくなったことを意味します。円安が進むと輸入品が高くなり、家計に直撃していきます。
俯瞰してみると、日本円だけを持っているのは、日本円への集中投資に他なりません。このような単一通貨に集中投資するリスクに対して、円だけでなく米ドルをもつことや、現金だけでなく株式や金などを持つことで、インフレや為替変動による資産の毀損を小さくできます。通貨の分散や、アセットクラスの分散と言われますが、分散することがリスクヘッジになることを覚えておきましょう。