はじめに

計上時期

そして開業日以降の売上については、「売上日・取引先・内容・売上額」を記載した売上帳をつけてください。現金の出入りを記した「現金出納帳」などの帳簿に書かれた売上と同じ金額になっているか、毎月チェックしましょう。

なお売上を計上するタイミングとしては、商品を引き渡したタイミング、またはサービスの提供が完了しているタイミングで売上をあげてください。まだ未入金であったとしても、売上としてお金が入ってくるということが決まっているのであれば、売上を計上しなければなりません。

これを帳簿につける際、「現金が入ってきた」時は現金で売り上げたという仕訳を、「まだお金は受け取っていません」という時は、売掛金で売り上げたという処理を行いましょう。

(現金で売り上げたケース)
現金を受け取ったとき   現金 1,000円/ 売上 1,000円(現金出納帳)

(入金が後日のケース)
売掛金で売り上げたとき  売掛金 1,000円/売上 1,000円(振替仕訳)
売掛金を回収したとき   現金 1,000円/売掛金 1,000円(現金出納帳)

また支払った経費についても、開業日以降は帳簿に、支払った日付や支払先その内容と金額を現金出納帳に記帳することになります。

そして最終的に一年分を集計して、売上などの収入から支払った経費などを差し引くと、もうけとなる利益が計算されます。このもうけを基礎として「所得」を計算して、所得税を求めるという流れです。

経費が多ければ多いほど、税金を抑えられるということになるわけですが、経費として認められるのは、「売上を獲得するために必要な支出」ということになっていますので、プライベートな支出などを混ぜ込まないようにしましょう。経費の上げ方については前々回詳しくお話ししていますのでそちらをご覧ください。

事業所得で支出の方が収入より大きくなった場合は、利益や所得がマイナスになります。給与収入がある人については、このマイナス分を給与など他の一部の所得から引くことができることから、「副業の赤字が節税になる」と言われてきました。しかし、8月に掲載されていた「パブリック・コメント」で、それを改めようとする動きもあるので、今後の動きに注目してください。

確定申告20万円の壁

開業届を出すか出さないかで迷われる方もいます。それは、確定申告が必要か不要かというボーダーラインがあるためです。年末調整済みの給与所得のある方で、副業の所得、つまり売上から経費を差し引いて、もうかった利益の金額が20万円以下の場合は、所得税の確定申告が不要です。

つまり、副業をしたとしても所得税の申告がいらない程度のもうけなら、開業届を出したり申告したりという必要がない、ということです。

開業届を出してしまったら、そこから毎年確定申告が必要になりますので、年間20万円以内に儲けの額が抑えられそうなら、手間を考えると開業届を出さないというのも方法です。

ただし、申告不要制度は「所得税」のルールです。

住民税についてはこのルールがなく、儲けがあれば基本的に申告しなさいというのがルールになっていますので、お住まいの自治体に「住民税の申告書」を出す必要があるということは、知っておいてください。いずれにせよ申告するのなら、所得税が申告不要でも「住民税の手間を考えると申告をしておこう」というのもひとつだと思います。所得税の申告を省略した場合は、どんな手続きが必要なのか、お住まいの自治体に確認してください。

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