はじめに

メンタル不調には3つの段階がある

私たちは、メンタル不調を3段階に分けて「“疲労”うつの3段階モデル」と呼んでいます。

1段階疲労 ……通常の疲労。1日働いたあとに感じる疲労や、運動したあとに感じる疲労が1段階疲労です。

2段階疲労 ……コロナでの我慢や不安などにより疲労が蓄積し、いつもより2倍疲れて、2倍敏感になっている「2倍モード」の状態です。

3段階疲労 ……さらに疲労が蓄積すると、3倍疲れやすく、3倍繊細になってしまう3段階疲労に陥ります。この3段階疲労の状態は、治療や休養が必要となる段階です。

この「“疲労”うつの3段階モデル」を利用して、私たちのカウンセリング現場の感覚と先ほどのリサーチの結果を併せて、グラフに示すと下の図のようになります。

通常、つまりコロナの前までは、1段階疲労の人が7割を占めていました。2段階は2割、3段階は1割という配分です。ところが、いまは1段階疲労の人が5割に減り、2段階が3割、3段階が2割に増えています。

ここで考えるべきことは、1段階疲労の人の状況の捉え方です。社会を牽引している人は、1段階疲労であることがほとんどです。2段階疲労の人は疲れが2倍に、3段階疲労の人は疲れが3倍に感じているため、結果的に1段階疲労の人が社会を牽引することになります。

この1段階疲労にとって、コロナ以前にも周囲に不調になる人がいましたが、全体の3割ほどと少数派であったこともあり、「不調を抱えるなんて、それなりの理由があったのだろう」と考えることができました。

しかし今は、自分はまったく苦痛を感じていないにもかかわらず、多くの人がコロナで不調だといいます。そうなると、「うつの人は、やっぱり甘えているだけなのではないか……」と感じてしまいやすくなるのです。

社会を牽引しているのは1段階の人であることが多いので、職場のリーダ―などがよくこの意見を持っています。

また、家庭でも、社会からリタイアした60代~70代の両親が、必死に社会で頑張っている2段階、3段階の状態にある30代~40代の子どもに対し、「私たちが働いていたころより、リモートワークになって楽になったはずなのに、うつっぽくなるなんて考えられない、甘えだ、鍛えなければ……」と理解を示さないことも多いのです。

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