はじめに

これまで幾度となく起こった新興国投資ブーム。はたして、新興国に直接投資するのは正しいことなのでしょうか。


新興国投資ブームの歴史

今回は「外貨投資」と、それも含めて「海外投資」をする際の考え方のひとつを提案したいと思います。

時々、個人の資産運用で「新興国投資」がブームになることがあります。古くは1990年にNIESといって香港、韓国、台湾、シンガポールが注目され、92年頃には香港に投資するファンドが急増しました。

2003年は記憶している人も多いと思いますが、BRICsといってブラジル、ロシア、インド、中国が注目され、それに続いてネクスト11といって、イラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコの11カ国。VISTAとしてベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンの5カ国。MENAで中央諸国と北アフリカ諸国という具合に、次々に注目される国・地域が取り上げられました。これが2000年代半ばまでの話です。

しかし、2008年に起ったリーマンショックによって、米国をはじめとする先進諸国で金融不安が高まると、その影響は新興国にも及びました。

アジア通貨危機の原因

冷静に考えてみれば当然のことです。この手の新興国経済が成長を続けられたのは、米国を中心とした先進諸国から潤沢な資金が供給されていたからです。ところが、その先進国で金融不安が高まれば、新興国投資どころではなくなります。皆、自分のことを守るのに精いっぱいですから、新興国に投資していた資金を一斉に引き揚げようとします。つまり先進国経済が何らかのトラブルに見舞われると、その影響は新興国にも及んでしまうのです。

1997年にアジア通貨危機が起こったのは、米ドルに連動させていた多くのアジア諸国の通貨が、米国の「強いドル政策」によって、自国経済の実力を超えた通貨高になったからです。

通貨高は、輸出主導型の経済構造を持つアジア経済にとって、大きなマイナスになります。そこに気づいた投機筋が、一斉にアジア各国の通貨を叩き売りしたことで、タイやマレーシアなどのアジア諸国で通貨危機が生じました。それを見た先進国は、アジア通貨危機が深刻化する前に、投資している資金を引き揚げようとした結果、さらにアジア各国の通貨は急落したのです。

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