はじめに

そして今、資産運用詐欺が跋扈(ばっこ)するような状況が、少しずつですが現れ始めています。

まず「2000万円問題」。いささか旧聞に属する話ですが、2019年に金融審議会の市場ワーキンググループがまとめた報告書に端を発したこの騒動によって、老後資金に対する関心が高まりました。東京国税局の元職員らのグループによる持続化給付金詐欺事件で、ウソの申請を担当した元不動産会社の女性社員が、動機として「老後に2000万円が必要だと聞き、将来への不安があった」と答えたように、若い人たちでも老後に不安を持っている人は、大勢います。

次に「貯蓄から資産形成へ」という国策に加えて、岸田内閣が打ち出した「資産所得倍増計画」です。これは、2000兆円あるといわれている個人金融資産のうち、54%を占める現預金から、資産運用型の商品にシフトさせるためのキャンペーンです。

過度に現預金に傾いた個人金融資産を、株式や投資信託などの資産運用型商品にシフトさせていくことは、個々人がより豊かな生活をしていくうえで重要なことだと思います。

ただ懸念されるのは、投資と投機の区別もつかないような、金融リテラシーの低い人たちが、いたずらに老後不安を煽られることによって、詐欺的な投資商品や情報商材に手を出してしまうリスクが高まっていることです。

新NISA、自分に合った投資金額をお手軽に診断!マネーフォワードMEプレミアムサービス[by MoneyForward HOME]