はじめに
潜在ニーズに気づいて便乗
イオンリテールも、以前から「台風コロッケ」という風習は認知していました。ただ、台風の接近とコロッケの売り上げについて、具体的な因果関係は見いだせないでいました。コロッケなどの総菜類は基本的に調理したその日のうちに販売しきってしまうのが前提だったため、精緻な要因分析はしていなかったのだそうです。
ところが、今年9月の台風18号接近を受けて、複数のネットメディアが「台風コロッケ」に関する記事を掲載。これに触発された一部の消費者がコロッケを大量に購入し、イオンの一部店舗でも売り上げが急激に伸びたとみられています。
こうした事態を受けて、イオンリテールでは各店舗にヒアリングを実施しました。その結果、台風の上陸前には通常よりもコロッケが早く売り切れることがあると判明。のぼりなどの販促グッズを用意し、先週末からキャンペーンを始めたというわけです。
「『台風コロッケ』という現象に、思っていた以上の潜在的なニーズがあるとわかり、便乗することにしました」(イオンリテール広報担当者)
今週末はどうする?
それでは、この企画は今後も継続していくのでしょうか。折しも、今週末には次の台風22号が日本に接近するとの予報が出ています。イオンリテールに聞くと、「今週末も同じ対応を予定しています。台風前のコロッケを訴求していきたい」と、前のめりです。
どの店舗で実施するのかという質問には、「台風の進路にもよるので、天気図を見ながら各店舗で判断することになります。初回のキャンペーンでは、ほぼすべてのエリアで数字が伸びていたので、割と広い範囲で実施するかもしれません」とのこと。
ネットの書き込みから始まった「台風コロッケ」ですが、将来的にはハロウィーンやクリスマスのように、恒例の販促行事となるかもしれません。