はじめに
別居の親も扶養に入れられる
別居の親でも扶養に入れることはできますが、扶養の条件のひとつである「生計を一にしている」かどうかはしっかり確認しなければなりません。
国税庁によると生計を一にしているとは「日常の生活の資を共にすること」をいいます。要するに同居している場合、財布が同じなら扶養対象OKということになります。また親と別居している場合でも、生活費や療養費などを常に送金しているときは「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
過去の年分も扶養に入れるには
過去の年分を扶養に入れる場合、まず会社に確認し、会社で対応できない場合は自分で確定申告をすることになります。会社員の場合は12月31日までに過去5年分遡って確定申告ができます。
それぞれの年分ごとに扶養の条件を確認する必要があります。親の収入状況には特に注意を。合計所得金額が48万円(令和元年分以前は38万円)を超える年分は扶養にできません。その年分に、他の親族の扶養に入っていなかったかどうかも確認が必要です。
また、扶養控除は修正申告や更正の請求によっていわゆる「付け替え」をすることができません。付け替えパターンとしては、母親を自分の扶養に入れたい過去年分が、父親の扶養になっていたという例です。医療費控除や住宅ローン控除で過去に確定申告していた年分については、不可となる可能性があるので税務署等で確認しましょう。
扶養に入れる際の注意点まとめ
親を扶養に入れる際の注意点は、前述したことと重複しますが、以下の基本事項をしっかり確認する必要があります。
(1)親の合計所得金額が48万円(令和元年分以前は38万円)であること
(2)自分と生計を一にしていること
(3)他の親族の扶養に入っていないこと
「生計を一にしている」に関しては、証明書などの添付は必要なく少々あいまいな点もありますが、親の合計所得金額に関しては厳格です。1円でもオーバーしたら即アウトです。
さらなる注意点として、親に思わぬ収入があるパターンです。
株取引の収入(特に親が自身の確定申告をしている場合)や、満期保険などの一時金、個人年金は特に見逃しやすい収入例です。公的年金や給与以外にどんな収入がいくらぐらいあるか、毎年チェックしてから扶養に入れましょう。
また、年金収入の少ない母親を自分の扶養に入れようとする場合、すでに母親が父親の扶養に入っているケースがあります。その際は母親を父親の扶養からはずし、自分の扶養に入れ替えることになります。すると父親は配偶者控除の分だけ税金が高くなってしまいます。父親か自分か、より収入の高い人が扶養に入れる方が節税効果は高いのですが、父親にはよく説明する必要がありますね。
「親を扶養に入れる」ことは確認事項が多く、少々面倒なこともあります。しかし節税効果は高く、それが毎年続くため、注意事項をしっかり守りながら手続きを進めてみてください。