はじめに
代表的なアノマリー
まずは年末年始に絡むアノマリーですが、この12月と1月の関係はなかなか興味深くなっています。
例えば日経平均株価やNYダウなどのチャートをご覧いただくとわかりやすいですが、一般的には12月と1月は逆の動きをすることが多い印象を受けるものの、株価が大きく上下していた場合は、12月までのトレンドに追従するかたちで、同一方向にその動きが加速されることもあります。
これは日本においては大晦日からお正月、アメリカなどはクリスマスという節目となる休暇を挟むことで、いったんはポジション等の整理をしておきたくなる心理が働きやすく、徐々に動きがなくなっていきやすい傾向を表しています。
クリスマスに向けて節税対策の売りなどをこなしつつ、年末にかけては徐々に切り返していくなどの動きも多々あります。これは「ドレッシング買い」といって、月末や期末の保有資産の評価額を上げておきたいという狙いで買いが入るパターンです。
年末年始に限ったアノマリーでも、「クリスマスラリー」(サンタクロースラリー)や年内最後の取引日(大納会)へ向けて株価が上昇していく「掉尾の一振」(とうびのいっしん)、年末高・年末安、またはその正反対のものなど、さまざまなアノマリーが存在しており一概に言えない部分も多く、参考程度に思っていただくとよいでしょう。
つぎに、季節性のあるアノマリーをいくつかご紹介します。
季節性のあるアノマリー
アノマリーの活用事例
最後に、資産運用と日常生活との関係において、筆者がアノマリーをどう捉え、活用しているかの一例をご紹介します。アノマリーに対してはひとつの参考情報としてしか考えてはいないものの道しるべや羅針盤のようなイメージをもっており、「いったん立ち止まり、自分を見つめ直すきっかけ」といってもよいでしょう。
十二支にまつわるアノマリー
筆者もこのアノマリーを少しだけ意識しています。現状の世界情勢やマーケット環境を背景として「来年はどうなるだろうか」、それに対して「自分はどう対処していくか」というようなことを考えるベースとしています。
2022年は「寅(とら)千里を走る」でしたので、「パワーを貯めこむ助走期間」としつつも、「テーパリングや利上げの影響によって、何度も下値をトライする年になるだろう」ということを想定、それがたまたま現実の値動きとマッチしたため、保有資産のリバランス効果が大きくあらわれる年となりました。
また来年2023年は「卯(う)跳ねる」です。厳しい局面や難しい局面は継続するものの、意外と株価水準を大きく上げてくる局面があることを想定しておきたいと考えています。
周期的なアノマリー
これは、満月から新月までおよそ2週間で1サイクルとなる月齢に関するものです。チャートの週足ベースでは2~3本分のスパンとなり、移動平均線の5日線はもちろん、25日線にも影響を与える重要な短期サイクルとなるため、相場サイクルや自分の生活サイクル、健康状態などを意識する際にも活用しています。
一般的に満月ではエネルギーが充満して開放され成果が得られる月、そして新月からはエネルギーが貯まり始める、新たに始まる月として捉えることができます。相場や健康状態などの転換点となり前後で流れが変わったり、さらに流れが加速したりする可能性なども意識するようにしています。
最後に、かなり抽象的になってしまいますが、アノマリーとは「合理的に説明できないものの、無視できないような確率で起こる現象」と捉えると、先人への感謝や謙虚な気持ちになれます。「いったん立ち止まり、自分を見つめ直すきっかけ」として、アノマリーを利用するのもよいかもしれません。