はじめに
組合健保の場合は保険料が大幅に上がることも
健康保険には、全国健康保険協会による健康保険(協会けんぽ)と、健康保険組合による健康保険(組合健保)があります。任意継続被保険者についての保険料については、標準報酬月額に保険料率(被保険者負担分・会社負担分、40歳以上65歳未満の場合は介護保険料分も含む)を掛けて算出します。
協会けんぽの場合、その標準報酬月額について、1・2いずれか低いほうを用います。
1.本人の退職・資格喪失時の標準報酬月額
2.前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日時点における協会けんぽの全被保険者の標準報酬月額の平均額(2022年度は30万円)、
一方、組合健保については2021年12月までは協会けんぽと同じように、A・Bいずれか低いほうで算出されることになっていました。
A.本人の退職・資格喪失時の標準報酬月額
B.前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日時点における、加入する健康保険組合の全被保険者の標準報酬月額の平均額
しかし、2022年1月以降は、BよりAが高い場合に組合の規約によってAを基に算出することが可能となりました。つまり、各組合の規約次第では、以前より保険料が高くなる可能性があります。
自身の加入している健康保険について確認を
特に、退職の頃に高給取りだった場合は要注意です。規約改正前は、高給である自身の標準報酬月額(A)よりも低い、全被保険者の標準報酬月額の平均額(B)に保険料率を掛けることになっていたことから、在職時の保険料と比べて負担は大きくなかったかもしれません。しかし、規約が改正されて退職時の高い給与・標準報酬月額でもって被保険者負担分、会社負担分の保険料が算出されることになると、規約改正前と比べ保険料の負担がかなり多くなってしまいます。
たとえば、先ほどのAが83万円、Bが41万円、保険料率が被保険者負担分・会社負担分がそれぞれ5%ずつ(※)だったとします。退職前は「83万円 × 5% = 4万1,500円」が保険料となります。そして退職後、規約改正がなければ「41万円 × 10% = 4万1,000円」と算出していたところ、規約改正によって「83万円×10% = 8万3,000円」で負担することがあります。月額で4万1,000円から8万3,000円へと大幅に増えることになると、「任継より負担額が少ない国保を選んだほうが良い」ということにも繋がります。
※保険料率や負担割合は健康保険組合によって異なります。
組合健保に入っている人は規約の改正が行われたかどうか、あるいは今後行わるかどうかの確認も必要となるでしょう。また、在職時の給与のほか、扶養家族がいるかどうかによっても任継か国保、どちらを選ぶのが良いかが変わります。
退職後の医療の保険料は大きな支出項目となりますので、退職前からよく比較しておく必要があるでしょう。