はじめに

「事業所得」の確定申告に必要な資料

事業所得の確定申告では「青色申告」を行うことが一般的です。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。事業規模の場合は、帳簿などの書類をきちんと用意するかわりに65万円の特別控除が受けられる青色申告をおすすめします。

しかし、青色申告をするためには、あらかじめ「開業届け」と「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ提出しておく必要があります。

【必要な書類】
・所得税青色申告決算書
<損益計算書・損益計算書明細書・損益計算書明細書(減価償却)貸借対照表>
・確定申告書B
・添付書類台紙
 マイナンバーカード(個人番号カード)と身分確認の書類を添付

青色申告のためには、副業に関わるお金の流れをしっかりと記録しておく必要があります。コーチ、カウンセラーなどセッションで受け取った報酬、セッション場所の経費、交通費など収入と経費をきちんと残しておきましょう。

また記録の仕方にも決まりがあり「複式簿記」を使います。お金の流れだけではなく、お金の全体の動きを「借方」と「貸方」で記録します。

クラウド会計ソフトを使えば、日々のお金の流れを入力しておくだけで確定申告に必要なこれらの書類を作成することができます。申告時に慌てることがなくなるので導入を検討してみてもよいでしょう。

「給与所得」の確定申告に必要な資料

アルバイトなどで本業の会社以外から「給与」として収入を得ている方は、副業収入も含めて本業の企業に年末調整してもらうか、自分で確定申告をするか、どちらかが必要です。会社にはお願いできないという場合が多く、実際には自ら確定申告する方が多いようです。

【必要な書類】
・確定申告書A第一表
・確定申告書A第二表
・源泉徴収票

第二表には、収入や社会保険控除などの内訳を記入します。2ヶ所からもらった源泉徴収票を見ながら、それぞれに収入金額を記入しましょう。そして、第一表で納めるべき所得税を計算します。すでに源泉徴収されている所得税を差し引いても納める金額がある場合は、追加での納付が必要となります。

「雑所得」の確定申告に必要な資料

今までみてきた事業所得や、給与所得など、どれにもあてはまらない所得のことを「雑所得」と言います。アフィリエイト収入や執筆を本業としない人の原稿料、最近ではビットコインによる利益も雑所得となります。雑所得も年間20万円の所得があった場合、確定申告が必要です。

【必要な書類】
・確定申告書A第一表
・確定申告書A第二表
・源泉徴収票

確定申告書類の書き方は?

ここまでご説明したように所得の種類よって申告に使う書類は異なります。給与所得や雑所得は「確定申告書A」ですが、事業所得は「確定申告書B」の様式を使います。

基本的な計算の方法は同じで、確定申告書Bはすべての申告に使える汎用的な様式です。ここでは確定申告書Bを使った事業所得についての手順をお伝えします。

確定申告の用紙は、各税務署で受け取ることができるほか、国税庁のWebサイトからもダウンロードできます。

はじめに「収支内訳書」の記入から始めます。右上に住所、氏名、電話番号、業種名、屋号などがある場合は屋号も記入します。次に日々のお金の記録から収入や、交通費、通信費など経費の支出を記録し、「所得金額」を計算します。

国税庁Webサイト確定申告書の記載例より

その次に第二表に所得の内訳と社会保険料控除、生命保険料控除などの控除明細を記入します。忘れてはいけないのは、第二表の一番下にある住民税、事業税に関わる事項です。

所得税の確定申告をするということは、当然、住民税も修正されるということです。サラリーマンであれば、給与から毎月天引きされているので、変更後の金額を「給与から差し引き」するのか、「自分で納付」するのかを選択しなければなりません。所得税は確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告は必ず必要になります。

また、インターネットのみで確定申告が完了するe-Taxという制度もあります。国税庁のWebサイトで確定申告書を作成し、そのまま電子申告ができます。e-Taxを利用するためには、事前の手続きが必要です。

【必要な事前手続き】
・電子証明書の取得
・開始届書の提出
・特定納税専用手続
・利用者番号の提出

手続き完了までには1週間以上かかるため、早めの手続きをおすすめします。事前の準備ができたら確定申告書作成コーナーで初期登録を行い、あとは画面の指示に従って入力をしていきます。書類の控えをプリントしたら、そのまま税務署へe-Tax送信して完了です。

副業を行う方が増えてきたので、確定申告について質問を受けることも多くなってきました。「少しくらいなら申告しなくてもバレないだろう」と考える方もいらっしゃるようですが、きちんと申告することをおすすめしています。

始めた頃の収入は少ない額でも、1年間続けると20万円を超えることもあるかもしれませんので、これから副業を始めるという方も、収入・経費・お金の流れは最初からしっかり記録しておきましょう。

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