はじめに

うつ病で休職中の生活を守る公的保障は?

季節性うつ病の症状改善には、専門家の治療をしっかり受けるとともに、心とからだを休めることが必要です。医師から休業した方がいいという診断を受けた場合は、会社に迷惑をかけることが気になるかもしれませんが、業務を任せ、会社と相談し休職しましょう。

休職中の生活を守るための公的保障として、傷病手当金という制度があります。この制度は健康保険に加入しているひとが受けられる制度です。扶養を受けながらパートで働いているひとや、自営業主など国民健康保険に加入しているひとは受けることができませんので、注意が必要です。

傷病手当金は連続して4日以上休んだ場合に支給され、最長1年6か月まで受取ることができます。傷病手当金の日額は、標準報酬月額を30日で割った標準報酬日額の2/3です。標準報酬月額は誕生月に送られてくるねんきん定期便に記載されていますから、確認しておきましょう。

たとえば標準報酬月額30万円の場合、標準報酬日額は1万円。傷病手当金は標準報酬日額の2/3ですから、約6,666円になります。傷病手当金は非課税で所得税や住民税はかかりませんが、健康保険料は支払う必要がありますので、詳細は会社の担当者によく聞いておきましょう。

春になり回復傾向がみられる季節性うつ病なのであれば、一定期間の休職で復帰できる可能性もあるので、会社と相談しながら働き続ける選択もできるのではないでしょうか。

就労不能保険、原因が精神疾患でも対象の保険は?

近年、就労不能保険という商品が保険会社各社で発売されています。公的保障である傷病手当金は生活を支えるのに強い味方ですが、給料の約2/3の支給ですから、休職期間が長引いてしまった場合、経済的なダメージが予想されます。そのような不足分に備えるのが就労不能保険です。ケガや病気で働けなくなった場合、約束した保険給付金をお給料のように毎月支払ってくれます。

ただし、一般的に就労不能保険の支払要件は、ケガや病気で障害状態に相当する場合に支払いが開始されることが多く、回復が見込まれない状態になった時に支払われますので、今回のテーマ、季節性うつ病のような短期で季節が変わると回復する病気では支払対象になりません。また、精神疾患は原則対象外としている保険会社が多いので、そもそもうつ病は長引いたとしても対象外です。

数は少ないですが、精神疾患による就労不能に備える特約を準備している会社もあります。おもに一時金を支払うタイプで、毎月定額を払う特約ではありませんが、ストレスの多い現代においては、精神的ダメージを受けてしまうことは誰にでも起きることです。不測の事態に備え、特約を準備しておくことも考えてみましょう。

どの病気にも共通していえることですが、季節性うつ病を予防するには、午前中に起床して自然の光になるべく多くあたること、バランスの良い食事をとること、ひとりで悩みを抱え込まないことだそうです。体調を整え、長い冬を乗り切りましょう。

参考文献:季節性うつ病 (講談社現代新書)

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