はじめに
マイナンバーカードとデジタル田園都市国家構想
そもそもマイナンバーとは、日本に住民票を有するすべての人が持つ12桁の番号のことです。これまでは、国の行政機関や地方公共団体などにおいて個人情報の紐付けが無く、住民票コードや基礎年金番号、健康保険被保険者番号など、それぞれ異なる番号で管理していたため、作業が煩雑になっていました。そこで、社会保障、税、災害対策の3分野での個人の特定を迅速に行えるようにとマイナンバーが導入されました。行政機関や役所での手続きの効率化を優先した形です。
マイナンバーカードは健康保険証や運転免許証として使えるよう、2024年末までに整備する事を手始めに、「オンライン市役所サービス」の役割を担うとしています。引越時に必要な転出転入届けや、給付金などの公金の受け取り口座を登録し、事務の効率化を促進していくとしています。生活保護、医療、介護、子育て情報や手続きのサービスの提供なども令和9年までに順次整備していく方針です。
また「市民カード」の機能として災害時の避難所受付や病院の診察券、図書館カード、選挙投票の入場受付などの活用を上げています。その他、各大学の学生証として利用したり、交通系カードとの連携利用をすることで、住民割引サービスを可能にすることも想定されています。
さらにマイナンバーカードの機能(電子証明書)をスマートフォンに搭載することも推進しています。これにより、子育て支援や確定申告などの行政手続きが簡素化でき、また母子手帳の管理、銀行口座や証券会社の口座開設、住宅ローン契約などの各種民間サービスの受け入れがスムーズになります。
しかしマイナンバーは導入直後から現在に至るまで、懸念する声が一定数上がっているのも事実です。個人情報の漏洩、国家による国民の管理、不正利用などに不安を感じ、機能が便利になればなるほどリスクを考えてしまう人も多く存在しています。個人の所得情報や資産情報を金融機関と連携して、マイナンバーに紐付けする取り組みも提示されています。
年始に本連載で2023年度の予算からみた注目4セクターとして防衛、こども政策、地方・デジタル田園都市国家構想、GX(グリーントランスフォーメーション)とお伝えしましたが、岸田首相は1月14日(土)の日米首脳会談で米国との防衛強化を約束しました。また岸田首相が1月23日(月)に臨む施政方針演説で少子化対策に関して「こども・子育て政策」を「最重要政策」とする方針を示しています。
今後はデジタル田園都市構想にも目を向けるはずです。その中心的役割を持つ政策がマイナンバーカードになる可能性があります。前途したようにマイナンバーカードには賛否はあると思いますが、政府の積極的な意向姿勢は強く読み取れます。