はじめに

物流業界の救世主となるか?

同時に上期と通期の予想を上方修正しましたので、その理由を確認しましょう。

画像:ユーピーアール「2023年8月期第2四半期連結業績予想及び通期連結業績予想修正について」より引用

冒頭に「2024年問題への対応期限が迫っているため、大手企業を中心にトラックドライバーの長時間労働の改善につながるパレット輸送や共同配送の動きが活性化しております」とあります。まさに、物流業界に重くのしかかる2024年問題の解決策のひとつとして、同社のパレットに注目が集まっているようです。

さらに投資家目線で目をこらせば「大手企業を中心に」という一文がひっかかります。じつは国内の運送会社は6万社超存在し、その約99%が小規模企業です。となれば、今後大手だけでなく、中小の運送会社にもパレット使用が広がるかもしれません。

物流業界の構造改革は、国土交通省が「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」という政策を掲げており、いわば国策と言えます。“国策に売りなし“という投資の格言がありますが、これらのチャンスを捉えるという意気込みを同社の上方修正から感じられます。

コロナで苦しんだ保管用パレットも回復

巣篭もり需要による宅配個数の増加は、同社のパレットリースには追い風でしたが、在庫のための倉庫で使用される保管パレットには逆風となりました。世界中で生産活動がストップしたため、在庫が減少。当然、倉庫の需要は減退します。

ユーピーアールの2021年8月期は、営業利益が前年比でー53.3%と2019年6月の上場以来、初の減益決算となりました。この苦しい時期に、販管費を見直し、さらにはDX化を推進したことで、筋肉質な営業体制を獲得。経済活動の再開により、徐々に在庫が増え始め、保管パレットも回復しつつあります。

制度変更に投資チャンスあり!

物流の2024年問題は、民間企業が抗えない制度の変更によるものです。制度や法律が変わるときは、既得権が剥奪され、ニューカマーが活躍の場を得るチャンスにもなります。

2023年10月から導入されるインボイス制度も同様です。請求書の仕様変更や、業務の複雑化をサポートするようなシステムやサービスを提供する会社に注目が集まっています。おそらくこれから発表される決算で、そういった企業の業績に変化が見えてくるのではないでしょうか?

法律や制度の変更は、ニュースなどでも報道されます。自分に関係ないものだと聞き流してしまいますが、投資家耳を持っていれば、ぴくんと反応するはず。そこから大きな投資チャンスが生まれるのです。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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