はじめに
2022年11月19〜20日、“みんなで学んで、一生役立つ。”をテーマにしたオンラインイベント「お金のEXPO2022 オンライン」が開催されました。
19日に行われた『お金の4つの使い方~使ったお金はどこへ行く?~』では、コモンズ投信のレイチェル先生こと横山玲子氏が子どもへ向けてお金の使い方について講演を行いました。
本記事では講演の内容を一部抜粋・編集して紹介します。
使ったお金はどこへ行く?
はじめに、最近お金を使ったときのことを思い出してみてください。いつ、何のために、いくら使いましたか?
私は今日、この講演会場に来る前、パン屋さんでパンを買って食べました。お金を使うと、お財布の中身が少なくなっていきます。使ったお金はどこへ行くのでしょうか?
お店で使ったお金は、お店の人が受け取ります。お店の人はそのお金を使って、商品の仕入れをするかもしれないし、自分のものを買うかもしれません。このように、お金は世の中をどんどん巡っていきます。次の人へ、次の人へと、次々に巡っていくのです。
では、ちょっと見る向きを変えてみましょう。あなたがお金と引き換えに、受け取ったものは何ですか?
私はパン屋でパンを買い、それを食べておなかがいっぱいになりました。そのパンを食べたおかげでここに来ておかねの使い方の話をする元気が出ました。この授業ではお金と引き換えに受け取ったものを「かち(価値)」というもので考えてみましょう。
価値とは、誰かにとって役に立つもの、誰かにとって大切なものという意味で、「価値がある」や「価値がない」といったように使います。
私はパン屋さんでお金を払って、パン、という私にとって価値のあるものを受け取ったということですね。ここがポイントです。
さらに大事なポイントですが、「価値がある」や「価値がない」といったことは、自分の心が決めることだということです。価値というのは人によって違います。人によって価値が異なることを上手くビジネスで利用した会社がメルカリです。ここで、メルカリで見つけたおもしろい例を見てみましょう。
ひとつはTシャツです。このTシャツは1枚3万円で売られており、実際にその値段で購入されていました。「3万円のTシャツは高いなぁ」と考える人も多いと思います。でも、とても珍しいTシャツ、とても質の高いTシャツだったらどうでしょう? 買った人は「このTシャツには3万円を出す価値がある」と考えていたから買ったんですね。人によって価値の大小は変わってきます。
メルカリでは袋いっぱいに詰まったたまねぎの皮が800円で売られていました。そして、これも実際に購入されていました。私はたまねぎを料理で使うとき、皮は捨ててしまいますが、みなさんはどうでしょう?わざわざそれを買う、という人は少ないのではないでしょうか。ですが実は、たまねぎの皮を使って染物をすることができるんですね。また、たまねぎの皮をお茶にすることもできるそうですよ。多くの人が捨ててしまっているたまねぎの皮にも、このような使い道があって、実際に大量のたまねぎの皮を欲しがる人がいて、購入されているんですね。
みなさんはたまねぎの皮を買いますか、買いませんか?この質問を言い換えると、みなさんにとって、たまねぎの皮は価値がありますか、ありませんか?となりますね。
ここまでメルカリの商品の例を使って、価値について考えてみました。
お金を使って、失敗したらどうしよう?
皆さんはこれまで失敗した、または後悔したお金の使い方はありますか? 例えば「1つでいいのにたくさん買ってしまった」「他のものを買えばよかった」と思っているものはありませんか?
私はそういう経験がいっぱいあります。みなさんにも失敗した経験があると思いますが、これは子どもだから失敗している訳ではありません。大人になっても、いっぱい失敗します。だから、心配しなくても大丈夫です。もし失敗してしまったら、それは学びのチャンスです。失敗して何も学ばないのが、一番もったいないと思います。
では、同じ失敗しないようにするのは、どうすればいいのか考えてみましょう。
「ついたくさん買っちゃったな」「考えてみれば、いらなかったな」という失敗をした人は、まずは買う前によく考えてみましょう。家にどんなものがあるのかきちんと調べてみましょう。「本当に必要なものとは違うもの買ってしまった」という人は、メモを持って買い物へ行くといいですよね。今日はこれを買う、とあらかじめメモして、それを見ながら買い物をしましょう。
お父さんお母さんにもお金の失敗を聞いてみましょう。きっとこれまでたくさんの失敗や後悔をした経験があると思います。「なぜそれにお金を使ったの?」「どうしてしっぱいなの?」と聞いてみましょう。いろいろおもしろい話を聞けると思いますよ。