はじめに
公営ギャンブルの期待値はマイナス
塚本:長い時間をかけて、資金を投じた会社に成長してもらうことで、利益を得るのが「投資」なんです。一方で「投機」は、安く買って高く売ることだけが目的。会社が成長しようがしまいが関係ありません。お2人は、「投資はギャンブルだ」などと聞いたことはありませんか?
有野:聞いたことあります! だったら、パチンコやら競馬競輪とか行ったらいいのに、って思うし、ぼんやりとやけど、汗流して働いてないって印象です。だから何となく怖いイメージがあんねんなぁ。
酒井:投資=ギャンブルって聞くと、やっぱりお金がなくなっちゃうのかなって、怖いですよね。
塚本:お2人が抱えているイメージは、「投資」ではなく「投機」なんです。以前かなり流行った「デイトレード」なんかも投機ですね。
有野:デイトレードは知ってます! 仕事部屋ですって所でパソコンにモニターが何枚も繋がってて、グラフが並んでるモニター見ながら、「これ良いですね」とか言うて。カチカチってやって、「はい、今ので20万円儲けました」とか言う人! 「今日はこれくらいで」って。ドバイとかに住んでる日本人が言うてんねんで、もう!
酒井:なんでドバイなんですか? 怒ってるし。
有野:なんかお金持ってるとあっち行くイメージあるやん(笑)
塚本:デイトレードは、1日の間で買ったり売ったりを繰り返して利益を取る手法ですが、こうした「投機」は会社の経済活動に使われることはありません。「投機」では、勝つ人がいれば同じ数だけ負ける人がいるので、プラスマイナスでいうとゼロになります。
塚本:少し余談ですが、有野さんは競馬をやられたことはありますか?
有野:競馬場に営業で行ったことはありますけど、馬券を買ったりは仕事でしかしたことないですね。競馬新聞見ても見方が分からへんです。でも、今はデイトレードの話でしょ先生、なんで競馬の話するんですか?
塚本:競馬では、馬券を買って集まったお金のうち、10%が国庫、つまり国のお財布に入り、15%がJRAなどに運営費として差し引かれます。差し引かれて残ったお金を、馬券を的中させた人に還元するんです。その差し引かれる割合を「控除率」というのですが、投じたお金の25%が最初から差し引かれているため、買った人たちに全額が返ってくることはないんです。
酒井:え~っ、最初から引かれているんですか!? 全然知らなかったです……。
有野:「ギャンブルは胴元が勝つ」って聞いたことあるけど、そういう意味だったんや。1,000円の馬券買っても250円引かれてるのか……凄い取られてるな。でも運営費がいるのは分かるけど、国庫で10%は凄いですね。
塚本:宝くじも同じで、控除率は55%程度です。当選金は、残りの45%から支払われます。こうなると、投資を行なった際にリターンを得られる確率を表す「期待値」は、競馬や宝くじなどの公営ギャンブルではマイナスになります。
有野:えぇ〜、半分以上も取ってるんや。宝くじのお金って確か、公園の遊具とかを作るのに使われてるんですよね? それなのに、あのガッコンガッコンって動くやつしか置かないんですか!?
酒井:なんですか、ガッコンガッコンって(笑)
有野:なんか胴長の3人乗りの犬みたいなお尻に宝くじって書いてあるねん。名前はロッキンパッピーて言うねんけど、気になって調べてんけど(笑) でも、ガッコンガッコンに……なんかアレ、子どもは絶対に乗りたがるけど、55%とってるんやったら、もうちょっといい遊具置いて欲しいなぁ。
※画像はイメージです。
塚本:宝くじによる収益の用途はさまざまありますが、公園の整備もその一環です。いずれにしても、最初から半分以上が差し引かれるわけですから、購入する側の期待値はマイナスですね。期待値でいうと、投資は会社の成長という要素が加わるのでプラス、投機はゼロ、ギャンブルはマイナスになります。
有野:そっかぁ、ギャンブルと宝くじは勝ったところで、胴元というか経営してる人が結構持って行ってて。娯楽や趣味でやるのはいいけど、長い目で見ると負ける可能性が高いってことかぁ。投機は会社の成長には何も貢献してない。自分の為だけか。なんかドバイに住まんでもええかなって思うわ。
酒井:なんの話ですか?
有野:手っ取り早く儲けても、胴元の控除率はどこでもあるって言う事ですかね、先生。
塚本:それを理解していないと、短期的にはどれもお金を増やせる可能性がありますから、「じゃあギャンブルでいいじゃん」と考える人が出てくるわけですね。