はじめに

難しい局面を迎えるFRBの金融政策

シリコンバレー銀行の破綻後、米国では2社が破綻し、欧州ではクレディ・スイスの経営不安が伝わりました。

何故、このような状況になっているのか? それは新型コロナが感染拡大した結果、世界でパンデミックになった事が要因の一つと考えられます。新型コロナ感染拡大で、世界の中央銀行は利下げと市場への資金供給を無制限に行いました。また、政府も経済対策を何度か実施し、経済の立て直しに尽力しました。

仮想通貨や商品市況が高騰、バブルの様相を呈し、米国の消費者物価指数は2022年7月には前年比で9.1%上昇しました。そうした状況を踏まえ、FRBは断続的な大幅利上げを行いました。その結果、シリコンバレー銀行などように運用が悪化する金融機関が出てきたように感じます。

今回の金融機関の破綻などを受け、FRBの金融政策が今後非常に難しい局面を迎えるのではないかと思います。シリコンバレー銀行の破綻の報道前は、FRBは今回、3月21日(火)〜22日(水)に開催されるFOMCで0.5%の利上げを行うのではないかとの噂がありました。

しかし、破綻の報道を受けて据え置き0.25%の小幅利上げとの報道が多くなっています。またFed Watchでは、2023年は利下げ傾向になるのでは、との予想が増加しています。

仮に利下げし、再度米国の物価が上昇した場合にFRBはどのような政策を取るのでしょうか? 利上げをすれば経営が不安定になる企業、対して物価が上昇すれば生活に苦しむ消費者、その狭間に立ち続けなければならない状況がしばらく続くと思われます。

前途したように、新型コロナ感染拡大で世界の中央銀行は無制限に利下げを行い、市場へ並々ならぬ資金供給を行いました。この様に、過去に経験した事のない金融政策を実施した事による歪みは、今後も生じる恐れはあるように感じます。

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