はじめに

魅力いっぱい!ライフスタイルで選べる銘柄

−−では1200以上もの銘柄の中から、どんな企業を選ぶのがいいのでしょう?

藤井:金券やクオカードといった金額換算できる優待もいいですが、やはり企業が主力としているサービスや商品の優待を受けるのが醍醐味ではないでしょうか?例えば、ライフスタイルに合わせた優待もおすすめです。

−−どんなものがありますか?

藤井:ファミリーで楽しめる優待の代表格はテーマパーク関連ではないでしょうか。例えば「サンリオ(8136)」の優待券は、サンリオピューロランドとハーモニーランドの共通優待券がもらえ、入場料が無料になります。さらに、株主だけがもらえる限定記念グッズもあります。

「スタジオアリス(2305)」では100株以上の保有で写真撮影券1枚がもらえます。家族そろっての思い出を、毎年プロに撮影してもらえるのは嬉しいですね。また、ペット専用の撮影スタジオでは、犬や猫の撮影もお願いできるそうです。

女性向けでは、美容ポータルサイト@cosme(アットコスメ)を運営する「アイスタイル(3660)」は、オンラインサイトで使える4,800円相当の買物割引券を株主優待としています。

一方、一人暮らしの男性には、衣類のクリーニング保管、ハウスクリーニングのいずれかに使える割引券3,000円相当分などを出している「LIXILグループ(5938)」などが向いています。

−−娯楽から生活必需品の割引まで、本当にいろいろな優待があるんですね。

藤井:繊維商社のタキヒヨー(9982)は非常にユニークな優待を実施しています。毎回変わるオリジナルギフトのほか、50万円相当の旅行券を抽選で10名の株主に贈呈しています。株主総会の後に抽選会を実施するので、楽しみながら株主総会へ参加できると思います。

また、地域の特色ある優待を楽しむこともできます。ドラッグストアを手がける企業を例に挙げますと、北海道を地盤とするツルハHD(3391)の株主優待では同社グループのギフト券に加え、北海道の物産品も選択できます。石川県を地盤とする北陸最大手のクスリのアオキ(3398)は、石川県を中心とした北陸の名産品を優待として選択することができます。株主優待で各地域の名産品を楽しむことができるのもいいですよね。

優待券と配当金、両方で得したい人の銘柄選び!

−−株主優待券と配当金、その両方を受け取ることは難しいですか?コツがあれば、教えていただきたいのですが。

藤井:拍子抜けするかもしれませんが、コツは「身近な企業」「好きな企業」を選ぶことです。

−−それはどういうことでしょうか?

藤井:株式投資は、一日中パソコンの前で株価の変動をチェックしているトレーダーや、圧倒的な資金力で投資をする海外投資家、国や銀行といった組織と同じ土俵で取り引きすることになるのですが、こういった相手に個人投資家が勝る最大の武器は「消費者目線」です。

行列のできるレストランや常に品薄になっているスーパーの商品など、日常レベルで感じる消費動向のチェックというのは、海外投資家には無理ですよね。実はこれが案外株価に直結しているのです。

今後も注目。伸びている「テーマ株」は○○!

−−今後注目の業界などはありますか?

藤井:例えば「インバウンド」が挙げられます。訪日外国人の数は右肩上がりで、今後も東京五輪の開催など好材料がたくさんあります。中国人の爆買い対象のドラッグストアや家電などもインバウンドの恩恵を受けています。

ただ最近は、インバウンドの消費傾向が「モノからコト(体験)」へ変化しつつあります。ブランド物の時計やバックなどの高額消費ではなく、旅館などの宿泊施設、テーマパーク、食事を楽しむなど、旅行の目的が体験にシフトしつつあります。この点を背景に、ホテルやテーマパークを手がける企業が有望だと思われます。

一方で、反対に「アウトバウンド」にも注目しています。これは越境ECと呼ばれる、国を越えたネット通販のことを指します。世界中でインターネットやスマホが普及し、今後も急拡大が予想される市場の一つです。日本の高品質商品は海外消費者からのニーズが非常に高いため、越境ECサービス自体を手がける企業や、日本製商品を越境ECで提供している小売企業なども有望です。


企業が積極的に株主優待を出している今始めてみるのもいいかもしれませんね。個人投資家でも、株主優待を受けつつ、もちろん株式の利益もしっかり狙う、株主優待の魅力がわかっていただけたのではないでしょうか。

後編は、株主優待マニア・藤井さんが本当におすすめしたい「株主優待・銘柄ベスト5」をご紹介します。

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