はじめに

ついに東証プライム市場へ変更!?

第3四半期決算発表では、もうひとつおまけのお知らせがありました。2023年3月15日付で、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更申請を行ったというもの。第2四半期の決算発表のタイミングで市場区分変更に対する準備を行なっているという旨のリリースを出していましたので、いずれ変更するとのは分かってはいましたが、グロース市場上場から1年未満での市場変更は素晴らしい!

プライム市場に変更するには、それなりの費用がかかりますし、開示内容の基準も厳しくなります。それでもプライム市場に変更するメリットは以下の3つが考えられます。

(1)外国投資家を含めた認知度の向上

東証プライム市場で戦う投資家の7割が外国人投資家と言われています。そのためプライム市場に上場することで、外国人投資家に対して認知度が高まることが期待できます。また、企業ブランディングの強化にもつながるでしょう。

(2)TOPIX指数への組み入れ

 指数に組み入れられることで、NISA口座やiDeCo、また年金運用機関などの中長期的に安定した買い需要が見込まれます。長期保有されることで、株価の変動率が穏やかになり、緩やかに上昇することが期待できます。

(3)資金調達しやすくなる

プライム市場への昇格で信用度が高まり、金融機関から融資を受けやすくなります。また、増資をおこなった場合でも流動性があるため、株価の変動をカバーしやすいのも利点です。

半値まで下げた株価は上昇に転じるのか?

上場直後は好調だった株価ですが、2022年10月27日(木)に上場来高値13,790円をつけたのち、一気に急落。今年、2023年3月15日(水)には上場来安値3,930円まで下落しています。

そこから好決算、上方修正、市場変更というトリプルサプライズで、2日連続ストップ高。3月24日(金)現在では7,100円まで回復しました。とはいえ、上場来高値まではまだまだ遠く、このまま上昇トレンドを描いていけるのでしょうか?

ANYCOLORがふたたびスター株になるには?

営業利益が毎年2倍に伸びるほど業績好調のことから、Vtuber市場の成長がめざましいことは分かります。ただ、先日3月27日(月)、同じくVtuber事業を手がけるカバー(5253)がグロース市場に上場しました。

画像:カバー「東京証券取引所グロース市場への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」より引用

2023年3月期の予想は①売上高18,056(百万円)、②営業利益2,169(百万円)と、ANYCOLORの事業規模にはまだ及びませんが、今後、強力なライバルとなる可能性は否めません。市場が大きくなれば、ほか大手の参入なども考えられるため、同社がオセロゲームの角をとれるかどうかがキモになりそうです。

もうひとつ受給的な面から言えば、将来の売り圧力となる信用の買い残が積み上がっていることが気になります。2022年12月に大株主のロックアップ(180日間の売却禁止期間)が解除されたことによる需給悪化で、株価が大きく下落。その際にリバウンド目的で信用買いした投資家が多く、その後もずるずる株価は下げたため、評価損を抱えたまま耐えていると思われます。株価が上昇してくれば、評価損が小さくなってくるため、耐えていた投資家は”やれやれ”と売ってしまいがちです。それらの売りをこなしていければ、株価は上昇しやすくなるのではないでしょうか?


華やかなデビューからの転落。そして、そこから這い上がってくる真の王者となれるのか−−おもしろい展開になりそうです。

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