はじめに

自動車購入時には「新規登録からの経過年数」に注意

山田:自動車税に関して、もう1つ注意を払っていただきたいのが、購入時からの年数なんです。

三輪:年数で何か変わるんですか?

有野:SDGsとか、環境問題が注目されているから、長く乗って大切にしてね、ってことですよね、先生。

山田:実は、自動車重量税には「13年重課税」という制度があり、新規登録から13年が過ぎると、税額が増えるんです。普通自動車は約15%、軽自動車は約20%の増税になります。

有野:しまった、逆やった! また、旧車好きから持っていくんや。

山田:この「13年重課税」ですが、表向きは「古いクルマは燃費性能が悪いから乗り換えましょう」ということなのですが、なぜこの制度ができたと思いますか?

有野:燃費は車体じゃなくて、乗り方によるねんけどなー。平地の人と山の人でも違うし。でもわかった、自動車業界からの圧力でしょ!

山田:だいたい正解です! 中古車ではなく、新車購入を促す目的があるのは明らかでしょう。というのは、たとえば新車登録から5年が経過している中古車の場合、あと8年で税金が上がることになりますからね。

有野:今度はボケたのに当ててもうた……。映画で親が子どもに買ってあげるのって、「安くて古い中古車で練習してからだ」って見たりするけど、「お父さん、その方が税金が高くなるんだぜ」って会話聞きたくないなー。あと、古くてもこの形が欲しいって人とか、こだわりのある人っているからね。って考えたら先生、それって、新しいクルマが好きな人以外はクルマを買わなくなるんちゃいます?

三輪:確かに、カーシェアリングでいいってなりそう。

山田:カーシェアリングは、自分で税金を支払う必要はありませんが、税金や保険が料金に含まれていますね。

三輪:そうか、最初から料金に含まれているという観点からすると、お得ってわけでもないといえますね。

有野:会員の人は、含まれてるって考えへんもんな。1台のクルマ買うより月会費って安いもん。なるほどねぇ、そうじゃないとクルマ持ってる人が一方的に損してるって話やもんな。でも、先輩にはクルマ乗ってて欲しい、って後輩は思って欲しいな。自分もいつかはマイカーを、って。先輩みたいなシェアリングカーを、って夢がない。最近じゃクルマの話が出来る後輩って居らへんもんなー。

今後数年で大幅な制度改正も!?

山田:ここで、皆さんに残念なお知らせがあります。

有野:え、先生まだ残念なお知らせあるんですか。まさか……レースゲームもシェアリングカーの会員登録してる人でないとプレイ出来なくなるようになるんですか? エコカーで燃費気にしてたら、世界目指せませんよ!

三輪:ここぞとばかりにゲームに持って行きましたね(笑)

山田:実は、今回させていただいた話は2〜3年後に全く別の内容になっている可能性があるんです。

有野:えぇ~っ! こんなに勉強したのが3年で使われへんのか。今回はなんか損した(笑)

三輪:そっか、環境問題など、世界の潮流が大きく変わっていますし、社会への影響も大きいので、場合によっては税制が大きく変わるかもしれない、ということですよね?

山田:そうなんです。現在はEV(電気自動車)が日本でも普及しはじめていますが、EVは排気ガスが出ないので、排気量に税金をかけるのはおかしいですよね。そのため、現在はEVを含めた新しい法律の整備が進められています。

三輪:EVだとガソリン税もかからないですもんね。

山田:なので、「走行距離」に対して税金をかけるという話も出ています。

有野:えぇ~、年間で何キロ走ったのか申告しなきゃいけなくなる、ってことですか?

山田:最近のクルマは通信機能が付いていますから、走行距離などのデータを自動で収集できるんですよ。実は今年、2023年4月から新制度が始まる予定だったのですが、新型コロナによって自動車部品や半導体などの供給網が崩れてしまって、クルマを買っても納車が遅れている事情があり、施行の時期が後ずれしました。おそらく、近いうちに発表があるはずです。いずれにしても、「自動車に関する税制が大きく変わりそう」ということだけは、頭に入れておいてください。

有野:なんでもかんでも国に把握されるの、怖いなぁ。そのうち、芸人がボケた数と使われたコメントとかも把握されるかもしれへんな。役人に「君、去年は番組で平均して、10回ボケたけど、使えるコメントは2回しかなく、収録の時間も伸びてスタッフや演者がタクシーで帰る事になり、経費がかかり、みんなに迷惑がかかったので、今年の納税額はこれだけね」なんて徴収されたりしたら、怖くてボケられへん。

三輪:さすがにそれはないので、心置きなくボケ続けてください(笑)

次回(4月25日配信予定)は「住民税」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

三輪記子
東京大学卒業後、立命館大学法科大学院を経て司法試験に合格。2017年より第一東京弁護士会に所属。弁護士として法律相談、法的問題のセカンドオピニオンや交渉、調停、審判、訴訟の代理人などを務める。主に中小企業や個人事業主の顧問弁護士として活躍するかたわら、松竹芸能に所属し、テレビやラジオなどメディアにも出演。ゲストを交えて時事問題を法的観点から語るYouTubeチャンネル「みわたまチャンネル」も手掛ける。

山田真哉
公認会計士・税理士・芸能文化税理士法人会長。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール、中央青山監査法人/プライスウォーターハウス・クーパースを経て独立。小説『女子大生会計士の事件簿』(角川文庫他)はシリーズ100万部、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は165万部を超えるベストセラーを記録した。個人のYouTubeチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」は登録者数約60万人。公職として2016年から内閣官房行政改革推進会議WG委員、株式会社ブシロード等の監査役を務める。

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

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