はじめに

2024年以降改正で浮かび上がる新築住宅にまつわる不都合

2022年の改正で変更された新築住宅に関する住宅ローン控除の変更について、まとめると「2024年以降、新築住宅の取得に住宅ローン控除を有利に活用したい場合、高い省エネ基準を満たす住宅の取得が必要になる」ということです。

省エネ性能の高い住宅は、費用がかさむ傾向にあります。加えて供給側では、断熱性能等の数値計算や建築の技術も必要となります。そのため、「新築住宅にまつわる“要件の改悪”は知らせず、省エネ基準をあまり気にせず販売できる2023年中にできるだけ売ってしまいたい」と考えるハウスメーカーや工務店などが出てきても不思議はありません。

あるいは、ローコスト住宅など価格を抑えた住宅では省エネ基準は満たせず、2024年以降不利になることが増えるでしょうから、「あえて改悪を伝え、契約を急がせよう」とする営業手法が出てくるかもしれません。

これからは中古も視野に入れて計画的に臨もう

もちろん購入する側としては、安く買える方がいいでしょう。しかし、安さや目先のお得さばかりに注目していると、不利益を被る可能性もあります。

例えば、省エネ性能の低い住宅を取得する場合、確かに当初の価格は抑えられるかもしれませんが、賃貸物件から引っ越し後、実際に居住する中で光熱費が上がるご家庭は多いです。マイホームが一戸建てであれば、なおさらです。足元の電気・ガス料金の上昇を受け、地域によっては光熱費の支払いが“家賃並み”になるケースも見受けられます。

最近の金利上昇と重なり、住宅ローン控除率と住宅ローンの金利差で“利ザヤ”をとることは封じられつつあります。今でもとれるのは唯一、変動金利型くらいでしょう。利ザヤを取れる金利の低さを優先して変動金利型を選択すると、今後金利上昇が続いた後には、増額された返済が家計に重くのしかかることでしょう。返済期間が長いほどにそのリスクは高まります。

これからの住宅取得は、“大きなお買い物”という原点に立ち返りましょう。

ライフプランに基づき適切な予算を算出し、頭金を用意し借入額は最小限に抑えましょう。大きすぎる買い物は、往々にして後悔を招きます。とりあえず借りて余裕がある時繰り上げ返済すればいいと思っても、実際に実行できる方は多くありません。

実は今回の改正では、中古住宅に適用される要件がかなり緩和され、新築住宅同様の扱いに変更されています。中古住宅も視野に入れた適切な取得計画を立て、実行していきましょう。

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