はじめに
「どんな株を買ったら良いのか」への一つの答え
もう一つ、「その会社の人間が自社株を買っているのは、その会社がうまくいっている何よりの証拠である」という名言もあります。
以前、知り合いの方から「どんな株を買ったら良いのか分からない」と相談をされました。「銘柄を細かく調べているうちに分からなくなってしまう」と言っていました。私は「いま携わっているお仕事は楽しいですか?」と質問してみました。「楽しいかどうかは別にして、とてもやり甲斐があり、社内の活気は以前より上がっています」という答えでした。「それならば貴方が働いている会社の株を買ってみたらどうでしょうか」とお伝えしました。
自社の株を買うなんて一切考えていなかったらしく、この提案に相談者は最初驚いていましたが、確かにここ最近社内の雰囲気が一変していることを肌で感じ、風向きが良くなっているのかもしれないと考えたようでした。しばらくして「たけぞうさんにアドバイスして頂いたとおり、少しだけ自社株を買いました」と連絡がありました。
その後、無事その会社の株価は上昇しました。【灯台もと暗し】とも言うべきエピソードでした。日々社内の状況をよく見渡せる自社が投資先になる事は、とても理想的だと思います。このように、自社株を購入する選択肢もあると覚えておくといいかもしれません。
丹念な予測や期待を込めて選んだ銘柄でも、時に大損してしまうこともあります。ガッカリする気持ちは何度となく味わいましたし、個人投資家となった今でも日常茶飯事です。
そんな時に思い出すのは、リンチ氏の「自分の選んだ全ての株で儲ける必要はない。株式投資で成功するために必要なのは、大幅に値上がりする幾つかの銘柄であり、それらによるプラスは期待外れの株の損失を埋めて余りある」という言葉です。
真摯に相場に向き合っているからこそ出る名言だと思います。リンチ氏の言葉には、投資家同士だからこそ心に浸透する優しさや励ましのような底力が宿っています。