はじめに

分散投資はリスクを軽減し、ポートフォリオ全体の安定性を高める投資戦略です。株式における分散投資の考え方として、前回は「地域」と「銘柄」について見ていきました。

今回もう1つ、「時間」について解説していきます。


「時間分散」とは

時間分散の優位性を理解するうえで、2008年のリーマン・ショックを例に挙げてみます。

2008年にアメリカの住宅バブルが崩壊し、金融危機が世界中に広がりました。多くの企業の株価が急落し、投資家が大きな損失を被ることとなりました。

このような状況でも、時間分散して投資を行っていた場合、市場が急落する前に投資を行った分と、市場が下落した後に投資を行った分とが混在するため、リスクを分散させることができます。時間分散投資の優位性は、市場の変動や暴落に対して投資リスクを緩和し、潜在的な損失を抑えることができる点です。

また、市場のタイミングを予測することは難しいため、定期的な投資を行うことで、投資家は市場の変動に左右されず、長期的な資産形成を目指すことができます。

時間の分散による投資戦略の優位性を以下にまとめます。

(1)リスク緩和
時間の分散により、一度に大量の資金を投資することによるリスクを軽減できます。○○ショックなど定期的に暴落が過去も起きていますが、市場のタイミングによって大きな損失を被る可能性が減り、安定したリターンが期待できます。

(2)投資家の心理的安定
市場のタイミングを気にせず、定期的に投資を行うことで、市場の短期的な変動に振り回されることが少なくなり、短期的な損失による恐怖心から解放され、投資家のストレスが軽減されます。長期的な視点で投資を行うことができ、市場の変動に対する感情的な判断を避け、冷静な投資判断が可能となります。

(3)投資習慣の形成
定期的に投資を行うことで、投資習慣が身につき、積立投資も容易になります。積立投資は、長期的な資産形成に役立ち、将来の目標に向けて資金を効率的に運用できます。例えば、退職後の生活費や子どもの教育費など、長期的な目標に対して計画的な投資が可能となります。

(4)平均取得価格の低下
定期的に一定額で買い付けすること、価格が低い時には多くの株式(または投資対象)が購入でき、価格が高い時には少なくなります。これにより、投資対象の平均取得コストを低く抑えることができます。この投資手法は、「ドルコスト平均法」と呼ばれています。

(5)自動化の利便性
多くの証券会社や投資アプリでは、ドルコスト平均法を利用した定期投資の自動化が可能です。投資家は、一度設定を行うだけで、定期的に投資が自動的に行われるため、手間がかからずに時間分散を行うことができます。

(6)初心者投資家にも適した手法
時間分散は、特に初心者投資家にとって手軽でわかりやすい手法です。市場の変動に対する恐怖心を軽減し、投資のリスクを緩和することができるため、初心者投資家が市場への参入を容易にし、長期的な資産形成に取り組むことができます。

このように時間の分散をする投資戦略は、投資のタイミングや期間を広げることでリスクを緩和し、安定したリターンを目指す方法です。その主な方法として、(4)に出てきたドルコスト平均法が挙げられるので、詳しくお伝えします。

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