はじめに

2022年5月以降、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の加入年齢が5年延長となりました。この改正に伴い、最長65歳になるまで掛け金を出すことが可能になったわけですが、60歳から新たにiDeCoに加入するメリットはあるのでしょうか?


60歳からiDeCoを始めるには条件をクリアする必要がある

iDeCoは節税しながら老後資金を作る私的年金制度です。加入については任意で、個人で掛け金を負担しつつ運用商品を決めて、60歳以降、加入期間に応じて一括や分割で受け取っていきます。iDeCoの最大のメリットは税優遇が充実していることです。具体的には、掛け金を出すとき、運用中の利益、受け取るとき、3つの段階にそれぞれ税の軽減措置が設けられています。メリットを受けることができるのであれば、iDeCoを利用したいところではあります。ただし、「60歳から新たにiDeCoを始める場合」には注意も必要です。

まず、60歳以降、無条件でiDeCoに加入できるわけではありません。次の条件のどちらかをクリアする必要があります。

1)国民年金に任意加入している

国民年金の任意加入とは、老齢基礎年金の受給資格を60歳までに満たしていない、あるいは保険料納付済期間が40年に満たないため老齢基礎年金の満額受給ができない場合などに利用できる制度です。国民年金保険料を全期間納めていて満額受給できる人はiDeCoに加入できません。

また、国民年金に任意加入できる期間は、国民年金保険料の納付月数が480月になるまでです。例えば、納付済月数が470月の場合、イデコに加入して掛け金を出せるのは10月のみになります。

2)会社員・公務員として厚生年金に加入して働く

60歳以後厚生年金に加入して働く予定がないとiDeCoを始めることはできません。
現在、会社員の多くは定年が60歳で、65歳まで希望すれば働ける環境は整っている状況です。例えば、60歳以降は1年更新の雇用契約で、2年くらい働く予定であれば雇用契約終了時点で加入者でなくなり、掛け金を出すことはできなくなります。

ただし、1)と2)のどちらかを満たしていれば良いので、1)の任意加入できる期間が終わったら厚生年金に加入して働く、あるいは、2)で継続雇用終了後に国民年金の任意加入できる期間があれば、掛け金を出し続けることはできます。大切なことは、その時になって戸惑わないよう、国民年金保険料の納付状況や60歳以降の働き方についても50代のうちに考えておくことをオススメします。

なお、1)と2)の条件を満たす場合でも、公的年金を繰上げて受け取っている人はiDeCoへ加入できないことを付け加えておきます。

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