はじめに

生きている間にまとまったお金を得られるライフイベントといえば、定年退職時の退職金や相続で得られる財産などでしょう。特に老後の支えとなるのは退職金の存在です。

しかし、年々退職金の金額が少なくなってきているというデータがありますので、投資でさらに増やして、老後の生活の不安を減らしたいと考えて、投資をスタートさせる方は少なくありません。

人生100年時代と言われる今、老後は長いので、資産寿命を延ばすためにも資産運用することは良いことです。でも中には、退職金ではやってはいけない投資があります。いくつか紹介します。


1. 元本保証・ローリスクでハイリターンの商品

「元本保証またはローリスクでハイリターン」の商品がこの世に確実にあるならば、それに投資すべきでしょう。筆者もそんな商品があるなら全力で投資をしたいと思います。しかし、そんな都合の良い商品は絶対にないのです。

投資には、リスクとリターンがつきもの。リスクとリターンはトレードオフ(比例)の関係にあるため、「元本保証で高リターン」や「ローリスク・ハイリターン」は絶対にありえません。にもかかわらず「元本保証で毎月高利回りの配当金が手に入る」といった投資の勧誘が多いのが事実です。いわゆる「投資詐欺」です。マネーリテラシーが高ければ、ちょっと知り合った程度の人からの勧誘は断れるでしょう。しかし、信頼できる家族や友人に誘われた時は揺らいでしまう可能性もあります。

こうした勧誘があったら、ポンジスキームを疑いましょう。ポンジスキームは、投資詐欺の9割を占める、詐欺の常套手段です。投資詐欺の可能性が高い勧誘商品は、「カジノコインリース」「暗号資産」「NFT」「不動産投資(土地売買)」「海外資産」「私募ファンド」「私募REIT」「プライベートバンク」「非上場株」「未公開株」などが該当します。

ポンジスキームに共通する仕組みは次のとおりです。

(1)元本保証・無リスクをうたい、年10%や20%など高利回りの投資案件で出資者からお金を集める
(2)運用する(といってはいるが、実際には運用しない)
(3)後から参加する別の出資者から集めたお金の一部を着服する
(4)残ったお金を以前の出資者に配当金と偽って横流しする(実際に数ヶ月間配当金がもらえる)

ポンジスキームでは、集めたお金を配当金として横流ししているのです。出資者が増えているうちは配当金がもらえますが、出資者が少なくなると破綻します。破綻すれば、出資者のお金は戻ってきません。

投資詐欺に合わないようにするために、次の5か条を忘れないようにしましょう。

(1)「元本保証・ローリスクで月1%や年5%を超える」商品は絶対にない
(2)秘密のグループやコミュニティには入らない
(3)投資商品の販売会社・運営会社を調べる
(4)未公開株、非上場株、私募ファンドは買わない
(5)友人を紹介するとインセンティブがもらえる「紹介プログラム」がある商品は買わない
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