はじめに

2. 毎月分配型の投資信託

毎月分配型の投資信託(以下、毎月分配型)とは、文字どおり分配金を毎月支払ってくれるタイプの投資信託です。毎月分配金がもらえたら、年金の上乗せになって嬉しいのですが、毎月分配型は損する仕組みが備わっています。

毎月分配型は、運用益が出ているときにはその利益から分配金が支払われますが、運用益が出なかったときは元本を取り崩して分配金を支払います。毎月運用益を出し続けられる商品はほぼありませんので、元本を取り崩して分配金をもらうことになります。その結果、分配金を支払った分だけ投資信託の元本が減ってしまうのです。

元本が減っても問題ない!とはなりません。毎月分配型の投資信託は購入時手数料がかかり、信託報酬(投資信託を保有している間ずっと差し引かれる手数料)が高く設定されています。つまり、毎月分配型は資産が増えることは少なく、高額の手数料を支払いながら、預けたお金の一部から取り崩した分配金を受け取るというわけです。

金融機関が毎月分配型を勧めてきたら、手数料目当ての可能性が非常に高いでしょう。毎月分配型の信託報酬は年1%以上の商品が多く、中には年2%以上の商品もあります。
2024年から始まる新NISAでは「毎月分配型」に投資することはできなくなります。

3. オプション付き商品(投資信託や仕組債)

オプション付き投資信託は、株式・債券などに投資をしつつ、オプション取引を行い利益の上乗せをする商品です。オプションを組み込み、複雑な仕組みを構築することで収益の源泉を増やす、つまりリターンを高くするわけですが、その分リスクも高くなります。

仕組債は債券にオプションを組み込んだ商品。条件のない債券よりも高い利回りが提示されています。

株価を対象にしたオプションが組み込まれている「仕組債」は、株価がいくら上昇したとしても、仕組債の購入者が得られる利益はあらかじめ決まったオプション料だけです。それに対して、株価が下落した場合は、下落するほど大きな損失を被ります。投資のリスクとリターンにはトレードオフ(比例の関係)があるといわれますが、仕組債の場合は、損失のリスクに見合ったリターンが得られません。

複雑な仕組みがある(=リスクが高い)、手数料が高い商品には手を出さないことです。簡単に儲かる商品はありません。

4. 退職金運用プラン

退職金運用プランは、「定期預金と投資信託」や「投資信託とファンドラップ」といった定期預金とセットにした商品。多くの場合、資産の半分を定期預金に預け、もう半分を投資信託で運用します。

定期預金の部分では、3ヶ月間や6ヶ月間など期間は短いですが、年利数%と高い金利が提示されているため、お得に感じるでしょう。しかし、投資信託の部分では購入時手数料や信託報酬が高く設定されているものがほとんど。トータルで見ると損になるようにできています。

この例では、定期預金の金利で15万円もらえていて得するように見えますが、投資信託の販売手数料を30万円支払うことになります。つまり、この商品を買った瞬間に15万円損することになります。信託報酬も高く設定されていますので、運用を続けても手数料の影響で大きく増える可能性も低いです。

このほか「外貨建て保険」や「不動産投資」なども退職金でやってはいけない投資に該当します。

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