はじめに
子どもが独立するまでの生活プラン、見直すポイントは?
現在、子どもが11歳。独立する22歳までの約10年間に、万一のことがあった時に備えましょう。
現時点で亡くなられた場合、子どもは900万円の保障が必要となります。10年間、1,000万円の死亡保障のある掛捨て保険を検討されてはいかがでしょうか。健康状態などにもよりますが、月2,000円ほどで加入可能な保険もあります。子どもが独立するまで養育費として月3万円入ってくるお金がありますので、そこから万一の時に備えられてはいかがでしょうか。
また、子どもが独立するまで一緒に旅行を楽しみたいと、毎年の旅行費として年間10万円の支出を予定されています。旅行費は毎月1万円ずつ生活用口座とは別に旅行積立することをおすすめします。生活用口座からお金を引き出すと、なくなった感覚になってしまいます。旅行代を気持ちよく支払うためにも、ぜひ旅行代は別口座での管理をしてみましょう。
子どもに残す資産と処分する資産の整理
また希望されている子どもへの結婚と住宅資金の援助として500万円は、つみたて投資やiDeCoを活用して資産運用を始めれば、準備可能な金額と考えます。ただ、もしも何か不測の事態が起きた場合には、援助資金の減額も必要です。子どもに援助をしすぎて贈与貧乏にならないように気を付けましょう。
注意点として、子どもに扶養の範囲内で生活費を都度渡す場合には、贈与税の課税対象にはなりませんが、資産運用でまとまった資金ができて、一括で子どもにお金を渡したい場合は、贈与税に気を付けましょう。子どもが一人っ子ということもあり、今から出来る準備はしてあげたいですね。
また、現在住んでいらっしゃる借地権付きの建物は、土地の固定資産税がかからないなど、費用面のメリットがあります。しかし、土地価格と共に地代が上がる可能性があること、その土地にはローンを組めない可能性があること、地主の代替わりがあった場合、関係性が希薄になってしまうなどのデメリットもあります。子どもが引き継ぐとなると少々管理が複雑になりますので、相談者の方が希望される通り、整理するのが妥当と考えます。
タイミングとしては70歳くらいで建物を解体し、地主に土地を返却するのはいかがでしょうか。解体の手配や引っ越し作業は体力を使いますし、賃貸契約も年齢を重ねると難しくなるなどの理由から、70歳くらいまでを目安とされるといいでしょう。解体費用を100万円とした場合でも、資産運用で準備しておけば十分支払える金額です。
このままシングルで過ごす場合、孤独を感じないように同じ世代のコミュニティに入って、セカンドライフを楽しむことも考えてみましょう。次の住まいとして、シニア向けの賃貸マンションに住むこともひとつです。家賃が月8万円の場合でも、現役時代にしっかり資産運用で準備しておくことで、100歳までトータル収支がマイナスになることなく、経済的に安心感をもって暮らしていくことができます。
さらに100歳まで1,000万円以上の貯蓄のある家計になっていますので、医療や介護で必要な資金もそこから出すことが可能となり、子どもに迷惑をかける心配もないでしょう。
母子家庭の平均年収は、子どものいる世帯の平均年収の半分以下であると最初に述べました。しかし、母子家庭の平均年収の373万円であっても、働いて収入がある間に、計画的に老後資金を準備することで安心して暮らしていくことが可能です。特に資産運用をするかしないかは、大きな分かれ道となりそうです。
現役時代に計画性をもって、老後へ向けた準備を始めましょう。
【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)