はじめに

子どもが独立した後は、死亡保険金の保険金額の目安となる額である必要保障額は、一般的に少なくなりますが、ある程度の預貯金があれば生命保険はもう必要ないのでしょうか?

今回は、生命保険の死亡保障について、遺族の生活費のためという側面以外の視点からお伝えしたいと思います。


万一のときに受け取りやすい

「生命保険は、万一の時に受け取りやすい」ことをご存じでしょうか? 意外と知られていないこの事実について、イメージしやすいように、銀行口座の預金と比較して見ていきましょう。

まず銀行口座は口座名義人が亡くなると、その口座は凍結され、残されたご家族が預金を引き出すことはできなくなります。亡くなられた方の預貯金は相続人全員の共有財産となりますので、引き出す際は原則として、相続人全員の同意が必要になるからです。

口座が凍結となっても、遺産分割が終了する前に、預金を引き出すことは可能です。ただし、手続きには相続人全員の戸籍謄本など、いくつもの書類を用意する必要があるという点と、家庭裁判所の判断を経ずに払戻しを行う場合は、1つの口座で払戻しできる額に上限があるため、時間と手間がかかる点が懸念されます。

また、口座が凍結されていないからといって勝手に預金を引き出してしまうと、相続を「単純承認」したとみなされる恐れもあります。その場合、後から借金などのマイナスの財産が見つかっても、相続放棄ができなくなってしまいますのでご注意ください。

これに対し、生命保険は受取人固有の財産となるため、受取人が個人の意思で支払い手続きをとることが可能です。手続き後、書類に不備などがなければ3日から一週間程度で受取人の口座へ保険金が振込まれます。

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