はじめに

複利効果を活かすには、時間だけでなく利回りを高くすることも大事

運用期間10年と15年の表を見比べると、資産総額は当然15年の方が多くなっています。5年長く運用しているので複利効果も多く得られていますし、何より積立金額も多いからです。しかし、複利効果をより活かすには、運用利回りを高くすることも大事です。

前述の「新NISAで月10万円ずつ10年間積立投資」の場合で考えてみましょう。運用利回りが1%のときの運用益は61万円です。この運用利回りが2倍の2%になったとき、得られた運用益は127万円と、2倍以上に増えています。運用利回りが3%、4%と増えた場合も同様に、「運用利回りが1%増えたことでいくら増えたか」を計算してみると、運用利回りが高くなるほど複利効果が大きくなることがわかります。前述の例に書き足してみましょう。

●新NISAで月10万円ずつ10年間積立投資・運用利回り1%~10%の場合の資産額合計

 1%:1261万円(+61万円)
 2%:1327万円(+127万円)1%増で+66万円
 3%:1397万円(+197万円)1%増で+70万円
 4%:1472万円(+272万円)1%増で+75万円
 5%:1553万円(+353万円)1%増で+81万円
 6%:1639万円(+439万円)1%増で+86万円
 7%:1731万円(+531万円)1%増で+92万円
 8%:1829万円(+629万円)1%増で+98万円
 9%:1935万円(+735万円)1%増で+106万円
 10%:2048万円(+848万円)1%増で+113万円

運用利回りが増えるにしたがって、複利効果を大きく受けられる分、お金を増やしやすくなるのです。

運用利回りがどうなるかは、投資先の投資信託次第です。以下、目標とする運用利回り別に筆者が選んだ、つみたて投資枠で購入できる投資信託を紹介します(データは2023年7月19日時点)。

●目標利回り3%程度…ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型)
純資産総額:335.33億円
基準価額:15,781円
信託報酬(税込):年0.154%
3年トータルリターン(年率):9.30%
5年トータルリターン(年率):6.36%

国内外の株式と債券に25%ずつ、均等に投資する「4資産均等型」と呼ばれるバランス型の投資信託です。株式と債券の比率が50%ずつで、国内と海外の比率も50%となっています。年金資産を管理しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もこの投資信託と同じく4資産分散投資を実施しています。1本買うだけでGPIFと同様の投資が実現します。なお、直近の3年・5年のトータルリターンは目標利回りと比べるとだいぶ高くなっていますが、GPIFの運用成績(2001年度から2022年度)を見てみると、年率3.59%となっています。

●目標利回り3~5%程度…eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
純資産総額:2103.56億円
基準価額:14,652円
信託報酬(税込):年0.143%
3年トータルリターン(年率):10.34%
5年トータルリターン(年率):6.28%

国内・先進国・新興国の株式と債券、国内・国外の不動産(リート)の合計8つの資産に均等に投資する「8資産均等型」のバランス型投資信託です。「ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型)」より債券の比率が少なく、不動産や新興国の資産などが入っている分、リスクは少々高めです。

●目標利回り年5%超…eMAXIS Slimバランス 全世界株式(オール・カントリー)
純資産総額:12900.13億円
基準価額:19,595 円
信託報酬(税込):年0.1133%
3年トータルリターン(年率):19.97%
5年トータルリターン(年率):-

先進国23カ国・新興国24カ国の約3000銘柄の値動きを表す「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」との連動を目指す投資信託です。世界株式市場のカバー率は85%。とても安い信託報酬で、世界中の株式に分散投資できます。「オルカン」の愛称で知られ、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」でも4連覇を達成しています。

投資のリスクとリターンはトレードオフの関係にあります。大きな利益が得られる可能性があるということは、大きな損失を被る可能性があるということでもあるのです。ですから、自分のリスク許容度(どれだけ損を許容できるかの度合い)に合わせて投資信託を選ぶようにしましょう。

リスク許容度が低いのであれば4資産均等型、そこそこのリスク許容度ならば8資産均等型のバランス型の投資信託、さらに積極的にリスクが取れるのならば、全世界株・米国株に投資する投資信託を選ぶという具合です。新NISAをフル活用して、資産形成を進めましょう。

※本記事は個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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