はじめに

給与でもらうのと業務委託でもらうのは何が違う?

所得税や住民税は、「所得」をベースに税金の金額計算をスタートさせていきます。所得にはさまざまな種類がありますが、経常的(毎月のよう)に発生するか一時的に発生するか、必要経費があるかどうかなど、発生形態や性質などに応じ、「給与」「退職」「利子」「配当」「譲渡」「事業」「不動産」「山林」「一時」「雑」の 10 種類に分類されています。

これら10種類は、それぞれの所得区分に応じて計算方法が決められています。会社員の方の給与所得の場合、「収入金額(色々引かれる前の金額) ― 給与所得控除額」となります。一方、事業所得・雑所得など業務委託の方が受け取る報酬は「総収入金額 ― 必要経費(その収入を得るために支出したもの)」となります。

給与と業務委託では同じようにお金を受け取っても、税金の計算のプロセスがそもそも違います。給与としてもらっていた時は、会社が年末調整という手続きをしてくれるので、自分で税の計算をすることも必要ありませんでした。しかし、事業や雑という所得なら、収入も経費も自分で責任を持って集計する必要があります。

また、落とした経費の領収証や請求書などは7年間保管してください。申告時に提出するわけではありませんが、何かあった時は見せられるように置いておいてね、と言うことですね。

給与所得と事業所得・雑所得…所得が違うと税の計算が違う

給与と事業・雑を所得の区分ごとに金額計算できたら、最後にそれらを合計します。これが合計所得金額で税金計算の時によく聞かれる金額「合計所得金額」です。

なお、副業や兼業として事業所得とは別に給与所得も得ているケースでは、事業所得が「経費が多すぎて、今年はマイナス(赤字)になりました」という場合、そのマイナス分を給与所得の金額から引いてもらえます。フリーランス1年目など重複期間がある場合も、まだお客さんも付いていなくて収入が少ない可能性も高いので、経費をしっかり正しく計上して、最後の年の給与所得から引いてもらえると助かりますね。

ただし、雑所得の場合は経費を使いすぎても、1年に数回しか収入が入らないようなものを指すので、「経費を使ってマイナスになるなんて、当たり前でしょう?」といわれて、マイナスの赤字分はすべてなし、つまり0円として計算させられます。

では、事業所得と雑所得はどのように異なるのでしょうか?

・開業届を税務署へ提出している
・事業として経常的に活動している
・お金の出入りを管理する帳簿などをつけている

偶然入った単発のお仕事では事業にならず、定期的に活動を続けていなければ事業所得にはならない、ということです。開業届は、住所・氏名・個人番号と開業日・業種・事業内容を書いて税務署に提出してください。

また、事業で必ずプラスが出そうな方は、複式簿記という「ちゃんとした帳簿」をつけておくことで、税金の優遇があるお得な「青色申告」ができます。代表的な青色申告の特典として、もうけから55〜65万円を引いてくれるというものがあります。

事業所得がマイナスならば、給与から差し引いてくれるのは青色申告・白色申告関係ありませんが、65万円の控除を受けられる場合は「青色申告をします!」と事前に税務署に青色の承認申請書を出しておかなければなりません。事前にというのは開業日から2ヵ月以内、またはその年の3月15日までです。開業届と違って期限があるので注意です!

そして、税金の計算はいよいよ確定申告書で行います。国税庁のe-Taxで作成して提出もできます。年末調整済みの給与所得と副業などの雑所得が20万円未満なら所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税の申告が必要なケースがあるかも知れませんので、お住まいの自治体にお問い合わせください。

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