はじめに

みなさんは、2023年のふるさと納税はもう済まされましたか? まだなら、2023年のふるさと納税は9月末までにやっておくべきかもしれません。というのも、2023年10月から、ふるさと納税のルールが変更になるからです。

今回は、2023年のふるさと納税を9月末までにやっておくべき理由を紹介します。また、ふるさと納税をつい後回しにして年末にやりがちな人のデメリットも解説します。


2023年10月からふるさと納税の返礼品が「改悪」?

ふるさと納税は、好きな自治体に寄附すると住民税や所得税が控除できるうえ、各地のさまざまなお礼の品(返礼品)をもらうことができる制度です。総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」 によると、ふるさと納税の金額・利用者数は年々増加。2022年度の寄附額は9,654.1億円、住民税の控除を受けた方は891.1万人にものぼります。

ふるさと納税は、実は税金の前払いの制度なので、節税ができるわけではありません。しかし、ふるさと納税をせずに普通に税金を支払った場合とは違って、返礼品がもらえる分お得になります。また、多くの自治体では寄附した税金の使い道を選べるので、寄附金を通じて自分の意思を自治体に伝え、自治体の活性化に貢献できます。

そんなふるさと納税の制度が、2023年10月から改正されます。2023年6月に総務省が発表した「ふるさと納税の次期指定に向けた見直し」 には、改正点として大きく次の2点が記載されています。

●(1)募集適正基準の改正
ふるさと納税では、各自治体の返礼品の調達費用の割合は寄附額の3割以下、経費の総額は寄附額の5割以下にするという、いわゆる「5割ルール」が定められています。前述の総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、2022年度のふるさと納税の寄附額に占める経費の割合は、

・返礼品の調達費用:27.8%
・返礼品の送付費用:7.6%
・広報費用:0.7%
・決済費用:2.0%
・事務費用:8.6%
合計:46.8%

となっています。

これを見ると、確かに返礼品の調達費用は3割以下、経費の総額は5割以下に収まっています。しかし、ここで挙げられている経費の中には、ふるさと納税ポータルサイトの利用手数料や寄附金受領書の発行費用、ワンストップ特例制度の事務費用などが含まれていませんでした。

2023年10月からはこれらの「隠れ経費」も「5割ルール」の中に含めなくてはならなくなります。そのため、各自治体では募集にかかる費用を圧縮するか、返礼品の質・量を変えないならば寄附金額を引き上げるか、寄附金額をそのままにするなら返礼品の質・量を落とすかをしなければならない可能性が高いでしょう。

つまり、これまでの返礼品が少なくなったり、返礼品に必要な寄附金額が増えたりする可能性がある、というわけです。

●(2)地場産品基準の改正
ふるさと納税で人気の返礼品といえば、やはりお肉やお米といった食べ物です。しかし、自治体のなかには、別の都道府県や海外から仕入れた肉をしばらく地元で熟成させたり、他の産地のお米を地元で精米したりして「返礼品」としているものもありました。しかし、2023年10月からは原材料がその都道府県内で生産されたものしか返礼品に設定できなくなります。

つまり、他の都道府県や海外から輸入した肉は、ただ熟成させただけでは返礼品とできなくなります。海外から輸入した肉に独自の味付けをしたり、独自のカット方法で加工したりするなど、「相応の付加価値をつけられた」場合のみ、返礼品にできるようになります。

これによって、各地が返礼品として用意していた熟成肉や精米がなくなってしまう可能性があります。

経費が5割を超えるということは、自治体には寄附額の半分もお金が残らないということですから、寄附金が自治体の発展のために使われないことになってしまいます。また、ふるさと納税がふるさとを応援するという趣旨ならば、熟成肉や精米の規制も理解できます。

しかし、返礼品に魅力を感じて寄附をしている人にとっては、返礼品の魅力が減ってしまう「改悪」になるかもしれません。2023年10月以降の動向はまだわかりませんが、今回の改正の影響を避けたいのであれば、2023年9月末までにふるさと納税をすればいいでしょう。

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