はじめに
個人事業主にとっては、少し面倒なイベントともいえる確定申告。
サラリーマンの方は基本的に年末調整だけで納税が完了しますが、個人事業主の場合、1年間の収支を計算し、所得などを自ら税務署へ申告することで納税額が確定します。税理士に頼めば楽ちんとはいえ、準備は自身で行うことが必須です。
今回は、会計事務所勤務の経験から筆者がわかった、個人事業主が確定申告で陥りがちな5つの失敗事例とその回避法をご紹介します。どれも基本的なことですが、実際にみなさん苦労されているようですので反面教師にしてくださいね。
記帳を先延ばしにし、期日前に慌てる
個人事業主にはサラリーマンのように決まった休みがないことから、「時間のあるときにまとめて記帳しよう!」と考えてしまいがちです。
ところが、いざ経費精算をしようとすると、誰との会食だったのか、交通費はいくらかかったのかなど調べるだけでひと苦労。思っていた以上に時間がかかり、「また今度でいいか!」と後回し。期日が迫り、結局慌てて1年分を入力する人も。
そうならないために筆者がおすすめするのは、領収書の裏面に「5W1H」を記入しておくこと。できれば当日中に「誰」と「何のため」に、そして「どのように(交通費)」を記入しておくと、後々調べる手間が減り、記帳が楽になります。
また毎月記帳することで、収入に対してどれだけの経費がかかっているのかが見えてきます。月に一度、仕事の振り返りとして記帳の時間を設けましょう。
必要書類が見当たらない
個人事業主には会計上、お給料はありません。自分の事業で稼いだお金から経費を引いたもの(売上-経費)が、個人事業主の所得となります。
この経費は事業に関するものしか認められないため、光熱費や通信費、ガソリン代など自宅用と仕事用に分けることで、仕事でかかった費用を経費として計上することができます。
その際に必要となりのが請求書や領収書ですが、最近は明細を紙ベースでなくWeb上で受け取る機会が増えています。よくあるのが確定申告の時期になって、まとめて印刷しようとしても履歴のデータが見つからないパターン。再発行には時間がかかりますので、携帯電話代やETCカード利用明細書なども定期的に印刷するか、PDFでわかるように保管しておきましょう。
クレジットカードを家計用と仕事用に分けることもおすすめです。
支払明細に生活費など個人的な支払いが含まれていると、その部分を除いて経費を計算するための手間がかかります。仕事専用のカードを持っていると請求額すべてが経費。会計処理が楽になるだけでなく、個人的な買い物を誰かに知られる不安もありません。
家計と仕事上の費用をキチンと分けて管理するために、筆者は使っていなかったカードを事業専用にしました。わざわざ新しいカードを作らなくても、あまり使用しないまま眠っているクレジットカードはありませんか? カードでの支払いは大きな額になることも多いので、経費への計上漏れがないよう明細書をしっかり保存しておきましょう。
また、公的な社会保険や民間の生命保険料を支払っている場合の証明書も確定申告に必要な書類となります。サラリーマンの年末調整に合わせて手元には10月頃に届くので、なくさないように保管しておいてください。