はじめに
上の子が大学進学をする10年後、貯蓄がなくなり家計収支が赤字に転じる
今の収入状況が続く場合、家計の毎年の収支は、10年後の夫59歳、妻54歳から夫75歳・妻70歳までの27年間マイナスが続きます。そして、上のお子さんが大学に進学する10年後、家計の貯蓄が底をつきます。
投資型の保険を複数契約して老後資金を準備されており、夫60歳・妻55歳から年金支払いがスタートしますが、家計のトータル収支は夫83歳、妻78歳の23年間ずっとマイナスです。このままでは住宅ローンの返済が滞り、家を失うことになりかねません。また、お子さんのやりたいことをサポートすることもできなくなります。そのため、まずは10年後を目途に黒字化できる家計に改善していく必要があります。
妻はできるだけ早くパートを見つけ収入をつくっていく
最近までAさんがパート勤務されていた職場はシフト制で夜の勤務もあり、小さいお子さんを抱えるご家庭の働き方には合っていないとのことで退職されました。将来の家計の赤字を回避するために、Aさんはご主人の扶養の範囲内でパートを探しましょう。月8万円(年収96万円)であれば、住民税や所得税も引かれることなく働くことが可能です。Aさんが収入を得るだけで家計の収支は大幅に改善され、毎年の家計収支も黒字に転じます。
夫は65歳で退職予定とのことですが、健康で働ける状態であればできるだけ長く働きましょう。仮に、夫が退職後の66歳から70歳まで月5万円の収入を得た場合、運用なしの預貯金のみでも、夫70歳・Aさん65歳の時には約1,600万円の貯蓄ができる家計になっています。最近では嘱託などで働ける機会も増えていますから、老後資金を見据えてペースは落としながらもできるだけ長く働くことが大切です。
NISAで投資をはじめ、住宅ローンの繰り上げ返済に充てる
Aさんに収入があることで余裕資金が産まれ、NISAなどを活用した資産運用のできる家計になります。すでに400万円の預貯金がありますので生活防衛費の準備は十分です。
Aさん名義で月5万円の積立て投資を60歳までしたとします。年利5%での運用成果が出た場合、16年間の投資期間で積立額1,020万円に対して1,602万円の投資成果を得ることができます。その結果、夫65歳、妻60歳時に1,763万円の資産形成が可能となります。積立て投資をせず預貯金のままであれば、同年齢時の資産は1,200万円となり、約500万円の差が出てきます。
そして、積立て投資をすることで夫が退職する65歳時に、住宅ローンの繰り上げ返済が全額可能となります。夫が65歳時の住宅ローンの残債1,375万円全額を返済したとしても、預貯金で約770万円が残ります。