はじめに

株式投資家の好物といえば、”減益予想から一転増益!”といった、ネガティブからポジティブへクルリと予想が反転する銘柄です。減益予想ゆえ、株価もパッとせず、だれもがスルーしていたところで、増益予想に転換のニュースが出れば、いきなりスポットライトが当たり、株価急騰となることが多いものです。

直近の例ですとホットランド(3196)、たこ焼きのチェーン店「築地銀だこ」を主に展開する会社です。

たこ焼きといえば、庶民の食べ物代表と言ってよいでしょう。大阪の家庭だと、たこ焼き機が自宅にあると聞きますが、東京在住だと外出時に食べるか、デリバリーするかの二択です。わが家でも、娘たちのリクエストで、お届けしてもらうことがあります。わたしの周りでは、店舗に通う友人も多く、せっせとポイントを貯めているファンも多数存在します。


当初の予想は2桁減益予想

まずは、ホットランドの当初予想を確認します。

画像:ホットランド「2022年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」より引用

2月15日(水)に発表された2023年12月期の①売上高予想は37,500(百万円)、②前年比16.6%、③営業利益1,500(百万円)、④前年比−14%。売上は2桁増収ですが、営業利益は2桁減益となっております。

たこ焼きの原材料といえば、小麦粉、タコ、食用油などでしょうが、どれも価格が高騰しています。さらに人件費、光熱費も上昇していることを考えると、費用が嵩むのは仕方ありません。どこまで物価が上昇するか分からない中での予想値なので、厳しめに見積もっているとは思います。

ちなみに前期2022年12月期は、当初の営業利益予想値が1,800(百万円)で、第三四半期決算のタイミングで2,000(百万円)に上方修正したものの、着地は1,740(百万円)と、予想値を下回りました。それにより投資家をがっかりさせた経緯もあり、新年度は控えめに予想を出したのかもしれません。

次に5月15日(月)に発表された第1四半期決算を確認します。

画像:ホットランド「2023年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」より引用

①売上高予想は9,397(百万円)、②前年比19.4%、③営業利益663(百万円)、④前年比34.6%。なんと営業利益は大幅増益、しかも営業利益率は、6.2%から7%に改善されています。通期予想に対する進捗率は、44.2%とかなり好発進。たこ焼きにそれほど偏った季節性があるとは思えないのですが、第1四半期での上方修正はありませんでした。

ここでひとつ気になるのは、経常利益です。⑤728(百万円)、⑥前年比−30.9%とかなりの減益となっています。数字自体は、営業利益より大きいのですが、前年の経常利益が⑦1,041(百万円)と大きいため、その落差が大きいことが分かります。

前年の経常利益が大きい理由は、損益計算書を見れば納得です。前年は、補助金収入が経常利益を押し上げていますが、今期はそれがなくなっていますので、大きな減益となっているのです。

画像:ホットランド「2023年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」より引用

営業利益は30%以上の増益で、経常利益は30%以上の減益と、かなりチグハグな決算内容ですが、こういった場合、投資家はどちらの数字を重視すればよいでしょうか?

正解は営業利益です。補助金のような一時的な数字で増減する数字ではなく、本業でどれだけ稼いでいるかを表している営業利益の数字で判断します。実際、この決算発表の翌日は、株価は6.2%上昇しましたので、投資家はしっかり見るべきところを見て判断していました。

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