はじめに
「推し活」できる会社を探してみる
有野:それで先生、いまは株を買ったほうがいいんですか? ド直球な質問ですみません(笑)
三井:いえ、この仕事をやっていると、よく聞かれます(笑) 結論からお話しすると、これからは株などの「インフレに強い投資商品」は、資産形成する上で有効だと思います。
有野:確かに、いろんなモノの値段が上がってますけど、インフレって株価も上がるんですか?
三井:インフレって、簡単に言うと「モノの値段が上がることで、お金の価値が下がること」なんです。日本は、これまで30年に渡ってモノの値段が下がる「デフレ」が続いていましたが、世界的なインフレの傾向もあって、ようやく“脱デフレ”が見えてきました。本格的なインフレが到来すると、日本円の価値は下がっていきます。デフレの時代は銀行預金やタンス預金をしていても、お金の価値が目減りすることはありませんでした。でも、インフレ下では、利子がつかないところにお金を預けていても、どんどん実質的なお金の価値が減ってしまうんです。
有野:塚本先生の授業でも習いました。モノの価値が上がって、今のままじゃ生活が苦しくなるから、松竹芸能にギャラ上げてもらわないと、ってことですよね? 芸人の単価を上げたら仕事が来なくなるから、そんなデフレスパイラルは避けたい。なので、単価はそのままで芸人側の比率を上げて欲しい、って話ですよね。
三井:インフレ対策としては賃上げも必要ですが、ちょっと趣旨とはズレてますね(笑) インフレ下では、お金の価値が下がるということを知っている人が、値上がり益や配当を求めて株を買うので、株価が上がりやすくなるんです。ただ、どんな銘柄でもいいわけではありません。たとえば、不祥事や市況の落ち込みといった個々の理由で業績が悪化すると、株式相場自体が上昇していても株価は下がります。上場廃止も含めて、個別銘柄への投資には独自のリスクがあります。
有野:やっぱりなぁ、それがあるから、詳しくないと失敗するやろうし、ちゃんと勉強しないなら手を出したらアカン、と思ってしまうんですよ。個別銘柄なんてすごい数あるんやろうし、その中で選ぶって凄い時間がかかる作業な気がしますよ。
三井:個別銘柄の選び方にもいろいろありますが、投資初心者の方におすすめしたいのは、「推し活」です。有野さんは、たとえばアイドルだったり若手芸人だったり、「推し」はいらっしゃいます?
有野:う~ん、「おもろい若手がおるなぁ」くらいは思いますけど、積極的な推し活っていうのはしてないかも。仕事上、グラビアアイドルと会う機会が多くて、頑張ってる子を見ると、「応援したいわ~」っていう気持ちにはなりますね。
三井:株式投資もそれと同じで、「この企業、いい商品を作っているな……応援したい!」という気持ちが湧く企業の株を買うんです。自分が好きなものなら、ある程度は調べる気になりますし、長期で応援できる企業を見つけられれば、ワクワクしながら成長を一緒に見守ることができます。
有野:なるほど! 僕はゲーム好きで、ゲーム会社にも顔見知りがいるんですが、その人に「実は、あのビッグタイトルの続編の計画が出てまして……」なんて、内部情報を聞いて、みんなより早く株を買うのはどうですか?
三井:それは「インサイダー取引」になるので、思いっきり違法行為です(笑)
有野:聞いててよかった〜(笑) 「有野課長、インサイダー取引」ってなるところやった。