はじめに

注目したい「連続増配」銘柄

有野:配当狙いって、ずーっと同じ銘柄を持ち続けるだけかと思ってました。ダメと思ったら、買い替えなあかんわけですね。

三井:確かに、配当狙いの投資は長期的な視点で銘柄を持ち続ける手法ではあります。株式投資、特に個別銘柄への投資の場合は、株価の値動きにしたがって含み益、含み損が露骨に出るので、どうしても日々の相場の上下次第で一喜一憂してしまいがちです。そうなると精神的にも疲れてしまって、プライベートやお仕事に影響するかもしれません。

有野:それはそうやろなぁ。僕はまだNISAとかiDeCoで投資信託を少し買っているだけで、大金を投資しているわけじゃないですけど、それでも損をしてるとヘコみますもん。もし、何千万円とか投資してて「うわぁ、数百万円の損が出てる~!」ってなったら、いくら長期投資っていっても、なかなかテンション上がらんと思います。

三井:仮に、持っている銘柄の年間配当利回りが5%だとすると、20年間持ち続ければ、投資元本は回収できるんです。10年間の保有なら、この間、株価が半値になってもトータルではトントン。もちろん、企業の業績が悪化することで減配や、無配転落によって株価が大きく下がる可能性はありますが、「高配当を得られている」ことが、安心感につながるのは間違いないですね。

有野:高配当狙いで持っていて、株価がグッと上がった場合は売ったらダメなんですか?

三井:少し儲かっていると、どうしても売りたくなってしまうのが人情ですが、「高配当狙い」で長く持つと決めた以上は、「高配当」という前提が崩れない限りは持っておくべきですね。私は、株式投資をする上で、「自分が買った理由が崩れたら売る」をマイルールにしているのですが、逆にいうとそれは、「買った理由が崩れていなければ持ち続ける」ことになります。

有野:マイルール、信念ですね。でも、株価が下がったら、持っているのが怖くなってしまいそうですけど……。

三井:確かに、いくら高配当だったとしても、1銘柄だけを買うのは、その銘柄に予想外の出来事があって、業績が悪化して株価が下がるリスクはありますから、不安ですよね? ただ、全く違う業種や業態の銘柄に分散して投資しておけば、株価が下がるリスクをおさえられます。これは高配当株に限った話ではなくて、株式投資全体についても意識しておくべきことですけどね。

有野:さっきの「ダウの犬」みたいに、先生オススメの高配当株への投資法はないんですか?

三井:日本では「配当利回りランキング」で上位の銘柄が注目されがちですが、米国ではその年の1年だけ配当が高い銘柄より、「安定配当」や「連続増配」、つまり安定して配当を増やし続けている企業が注目される傾向があります。そういう点で、たとえば33期連続で増配を達成している花王や、21期連続増配のユニ・チャームなど、1年当たりの配当利回りはそれほど高くなくても、安定したビジネスモデルを構築していて、安心して持ち続けられる銘柄に目を付けるのはアリでしょう。

有野:なるほど! ジェットコースターみたいに上がり下りがある企業よりも、安定して右肩上がりの方が、ずーっと配当を増やして、業績も安定しているわけだから、これから先、長い間持ってても安心できるんじゃないか、ってことか。

三井:連続増配中の企業に投資する投資信託やETF(上場投資信託)を買うのも一手だと思います。投資信託だと、先ほどの「ダウの犬」投資法のような見直し(リバランス)も自動でやってくれますからね。

有野:ちなみに、花王って株主優待はありますか?

三井:残念ながら、花王は株主優待をやってないんですよね。

有野:ないか~、残念(笑) 配当も気になるけど、個人的には株主優待がおもろそうやなぁ、って思うんですよ。

三井:では、次回は株主優待についてお話ししましょう!

有野:待ってました、よろしくお願いします!

次回(10月17日配信予定)は「株主優待」について聞いていきます。

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有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

三井 智映子絵
「美しすぎる金融アナリスト」として話題となり、全国各地で個人投資家向けセミナーやIRセミナーに登壇。投資教育をライフワークとしている。 ZAI、SPA、マイナビ、FX攻略.com、DIME、ワッグルなどメディア掲載、連載の実績も多数。IRセミナーの構成作家やプロデュースも手がける。著書に『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門』(講談社)、『はじめての株価チャート1年生 上がる・下がるが面白いほどわかる本』 (アスカビジネス)がある。

ライター:新井奈央

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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