はじめに

「負け犬」への投資法が有効!?

有野:それじゃ、配当利回りの高い順に買うのが正解、ってことですか?

三井:配当利回りを狙うのであれば、そういう考え方もあるということです。実は、本当にそういう投資の仕方があるんです。たとえば米国では、米国の代表的な企業で構成されている「NYダウ」という株価指数があるんですが、そのNYダウの構成銘柄の中から、その年の配当利回りが高い10銘柄をピックアップし、その銘柄を買うという手法で、「ダウの犬」と呼ばれています。

有野:ダウの犬? おもろいネーミングですね(笑) 犬って表現、イメージだと「国家権力の犬」やら、あんまりいい表現じゃないけど、なんで犬なんですか?

三井:配当利回りは、「株価÷年間の配当金」で算出される値なので、株価が上がると配当利回りは下がります。「ダウの犬」という投資手法は、NYダウの構成銘柄の中でも、株価があまり上がっていない銘柄を選び出すことになるので、株価が低い「負け犬(Underdog)」に投資するという意味で、「ダウの犬」という名称になっているようですね。

有野:「負け犬」って(笑) でも、負け犬に投資するのって、なんか嫌やなぁ。

三井:NYダウには、アップルのようなIT企業もあれば、コカ・コーラのような歴史ある老舗企業も入っているのですが、比較的収益や配当が安定している企業が多いんです。それに、「ダウの犬」投資法は、1年に1回、保有する銘柄を配当利回りの高い順に買い直すというシンプルなものなので、すごいラクなんですよ。

有野:そんな買い直したりしないと、ずっと持ってるだけじゃダメなんですか?

三井:先ほども言ったように、配当は業績、引いては景気の波によって増減するので、年に1回は見直しが必要です。米国株だと馴染みがないという場合は、「日本版ダウの犬」でもアリだと思います。

有野:おぉ、日本版もあるんですね! 僕は「配当金の犬」です。配当金が増えるためなら、バンバン尻尾振って、ク〜ンク〜ン鳴きますよ。で、どんな企業が入ってくるんですか?

三井:「日本版ダウの犬」は、ダウ平均の代わりにTOPIXコア30から銘柄を選びます。TOPIXコア30 は、TOPIXの構成銘柄のなかで時価総額と流動性が特に高い30銘柄で構成されている指数で、その30銘柄の中からその年の予想配当利回りの高い順に買うわけですね。今期だとトヨタ自動車やソニーグループ、三菱UFJ銀行やキーエンス、NTTが「日本版ダウの犬」に入ってくると思います。

有野:なるほど、こっちのほうが馴染みのある企業が多そうですね。

三井:いずれにしても、メンテナンスの手間はありますが、5%に近い配当利回りを得られる可能性がある手法だと思います。

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