はじめに
【3】元金が多く残っているほど金利上昇の影響を受ける
今、住宅ローンの返済を始めてから何年経過していますか。基本的に返済額は元金と金利をかけ算して求められますから、金利上昇の影響は、元金が多く残っている方ほど受けやすくなります。変動金利型住宅ローンの基準金利の水準は10年以上変わっていません。変動金利型住宅ローンを利用してすでに長期間経過している、という方もいらっしゃることでしょう。10年以上返済していれば元金の減りも期待され、返済を始めて間もない方よりも金利上昇の影響は軽いでしょう。
【4】金利上昇後の繰り上げ返済で毎月の返済額が増える可能性も
金利上昇前に繰り上げ返済をしようかと考えている方もいらっしゃることでしょう。変動型住宅ローンの金利上昇の対策としては、繰り上げ返済も一案となります。ただし、繰り上げ返済をする場合、その時点での金利で返済額が計算されるため、金利上昇後に繰り上げ返済を行うと毎月返済額が増える可能性があります。貯蓄状況だけではなく、家計収支のゆとりについてもあらかじめ確認しておきましょう。
【5】繰り上げ返済を行うと団信の保障が減る
繰り上げ返済をすると、同時に団体信用生命保険(以下、団信)の保障も減ってしまうことも覚えておきましょう。団信は、住宅ローン契約者の万が一の時、契約者に代わって残りの元金を返済する保険です。一般的な生命保険とは異なり、団信の保障額は自由に設定できず、借入残高となります。繰り上げ返済により残高が減れば団信の保障は減り、同時に手元の貯蓄も減少します。繰り上げ返済後の生活設計の影響を確認しておきましょう。
総返済額が大きく増える可能性が出てくるのはマイナス金利解除が目安
変動金利型住宅ローンは金利上昇時には総返済額が増えるリスクがあるため、不安な気持ちを抱えている方もいらっしゃることでしょう。しかし、日銀の金融政策の舵取りの影響をタイムリーに受けやすい長期金利とは違い、短期金利にはまだ大きな動きはありません。すでに契約している変動金利型住宅ローンの金利上昇の可能性が出てくるのは、マイナス金利政策の解除が目安となるでしょうから、まだ対策を立てる時間はあります。
変動金利型住宅ローンは契約後、金利の動向に注意しながら、場合によっては家計や生活設計を見直すことも必要となります。あらためて返済計画を確認し、よりよい選択肢を検討していきましょう。