はじめに

「社会・経済の問題を解決する企業」に注目

では、「物流の2024年問題」が株式市場にどのような影響を与えるのかを考えてみましょう。株式市場において、社会や経済の問題を解決に導く企業は「〇〇関連株」と呼ばれ、注目されます。また、社会や経済にとって深刻な問題であればあるほど、関連株の注目度も上がります。

この「物流の2024年問題」を解決に向かわせる手段を考えてみましょう。ざっくり、以下の7つが挙げられます。

①物流会社が規制通りに賃金を上げる
②運送ドライバーの数自体を増やす
③問題解決に取り組む企業に対して補助金や助成金を投入
④送料の引き上げ、即日配達・再配達の有料化
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⑤物流・業務の効率化を進め、ドライバーの労働時間を短縮
⑥物流倉庫の効率化・自動化、運送ルートの見直し
⑦トラック運送を減らし、列車や船舶など代替手段の活用を増やす

この7つのうち、前半の①から④までは株式市場ではテーマになりづらいでしょう。確かに問題は解決に近付きますが、民間の負担増加や税金投入がベースになっているからです。注目は、⑤から⑦の3つ。⑤と⑥の「業務の効率化」や「倉庫の自動化」では、ITやAI(人工知能)、機械の活用によって業務の効率化、倉庫の自動化を進め、物流の無駄を省くことで、ドライバーの労働時間は短縮化されます。一口に言ってしまうと、「物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)化」。機械やシステムの導入に費用はかかりますが、それを手掛ける企業にとっては大きな追い風になるわけです。

ただし、物流効率化を進めるためのシステム開発会社の多くは、大手物流会社やシステム開発会社の傘下である場合が多いのが難点。そうなると、物流DX単独で親会社の業績を上振れさせ、株価を何倍にも上昇させるほどのインパクトを持つかと言われると、難しいかもしれません。もちろん、物流DXという「国策」によって業績が大きく押し上げられる企業がないとも言い切れません。そうした「相場テーマ」の恩恵を受ける企業を探し当てるのは、株式投資の醍醐味の1つと言えます。

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