はじめに

2024年スタートの新NISAは、投資の利益にかかる税金がゼロにできるうえ、非課税で投資できる金額が増えるなど、よりお得で使いやすい制度に生まれ変わります。しかし、NISA口座は1人1口座。どこか1つの金融機関でしかNISA口座を持つことができません。となると、「NISAの制度が変わるなら、もっとお得な金融機関に変更したいな」という方もいることでしょう。

そこで今回は、現行NISA(一般NISAやつみたてNISAなど)を利用している方がNISA口座の金融機関を変更する場合に注意すべきことを紹介します。


NISA口座の金融機関は変更できる

すでに一般NISAやつみたてNISAといった現行NISAを利用している人の場合、特に手続きをしなければ、2024年になると現行NISAを利用している金融機関に新NISA口座が自動で開設されます。そして、2024年からは現行NISAでの新規の投資はできなくなり、新NISAで投資ができるようになります。なお、2023年末までに投資をした資産は、現行NISAの非課税期間終了まではNISA口座で保有可能です。

現行NISAを利用している人が「新NISAの投資は他の金融機関を使いたい」という場合は、金融機関を変更することができます。

NISA口座の金融機関の変更手順は、どの金融機関でも同じです。

●NISA口座の金融機関の変更手順

(株)Money&You作成

変更先の金融機関では、事前にその金融機関の口座(証券会社なら証券総合口座、銀行なら普通預金と投資信託口座)を開設しておくとスムーズです。

なお、SBI証券や楽天証券など一部の証券会社から他の金融機関にNISA口座を移す場合は、ネット上で必要事項を記入することで勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書が送られてきます。(1)(2)の手順が簡略化される分だけ、手間が少なくてすみます。

NISA口座の金融機関を変更する際の5つの注意点

NISA口座の金融機関を変更するにあたっては、次の5つの注意点を押さえておきましょう。

●注意点(1):変更したい年に取引しているとその年の変更はできない
NISA口座の金融機関の変更は、変更したい年の前年10月1日から当年9月30日の間に行います。ただし、変更したい年に1度でもNISA口座で取引している場合、金融機関の変更は翌年からとなります。

たとえば、2024年から新NISAの金融機関を変更したい場合、2023年10月から変更の受付がスタートしています。仮に2023年中に現行NISAを利用していたとしても、2024年9月までに手続きをすれば2024年内に新NISAの金融期間を変更することができます。

しかし、2024年1月になり、変更前の金融機関に開設された新NISA口座で1度でも取引をすると、2024年中のNISA口座の金融機関の変更はできなくなります。また、2025年から金融機関を変更したい場合も、2024年10月からの手続きとなります。したがって、新NISAで金融機関の変更をしたい場合は、早めに手続きしましょう。

●注意点(2):申込書や手続きに不備があると開設ができない
各金融機関に提出する申込書や本人確認書類に不備があると、当然ながら口座開設はできません。提出する前に記入を忘れているところはないか、添付する書類に漏れはないかを確認してから提出しましょう。

NISA口座をすでに持っている方が、NISA口座の変更手続きをしないで他の金融機関にNISA口座を開設するのもNGです。NISA口座は1人1口座ですので、NISA口座は開設ができません。

金融機関の中には、税務署の審査が終わる前に先行して開設予定のNISA口座で取引ができるところがあります。しかし、結果としてNISA口座が開設できなかった場合、その(開設できなかった)NISA口座の取引はすべて「一般口座」での取引に訂正されます。一般口座に移管された商品を売却して利益が出た場合には、もちろん税金がかかりますし、取引報告書の作成及び確定申告が必要になります。これはかなり面倒ですので、必ずNISA口座の変更手続きをしましょう。

●注意点3:現行NISA口座から新NISA口座に資産を移す「ロールオーバー」はない
新NISAには、他の口座から新NISA口座に資産を移す「ロールオーバー」の制度はありません。現行の一般NISA口座やつみたてNISA口座、さらには課税口座(特定口座または一般口座)の資産を売って新NISA口座で買い直すことはできますが、一度売却して買い直すという手間が発生することには注意が必要です。

では、これまで保有してきた資産はどうすればいいのでしょうか。現行NISAの資産と課税口座の資産に分けて考え方を整理してみましょう。

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