はじめに
「コンビニおにぎり」値上げの事情は?
今、コンビニ各社がおにぎりを値上げしています。ローソンは10月末に値上げを実施。ただ、実はこの価格を細かくコントロールしている点が牛丼チェーンと似ています。
具体的にいうと、ローソンはすべてのおにぎりを一律値上げするというわかりやすい手法ではなく、一部商品のみの価格を上げ、ほかの商品は据え置くというかたちで、値上げが進行していることに消費者が気づきにくいやり方を模索しているのです。
値上げされた商品のひとつは、販売量が最も多い「シーチキンマヨネーズ」で、従来110円だったものが116円になりました。「日高昆布」も同じ幅で値上がりしましたが、同様に定番商品でも「紀州南高梅」は110円が120円になるなど、その上げ幅は異なっています。
ほかのコンビニチェーンやスーパーでもおにぎりの値段は上がっているのですが、耳にした話では「値幅として5円以上がコスト増を価格に転嫁するために必要な最低ライン」ということ。
実は、各社のおにぎり値上げの背景には、ある原材料費の価格が年々上昇している問題があります。それは「米」。
2016年産の業務用米の取引価格は1キロあたり260円でしたが、これが2017年度産に切り替わると300円を超える見込みです。ちなみに米の価格は2014年に一度底値を叩き、そこから毎年上昇しています。
おにぎりの場合、12月には年度米の切り替わりとなるため、そこまでに価格転嫁しないと原材料の値上がり分だけ赤字になる。その幅が最低でも5円だというのです。
ローソン型とセブン型、支持されるのは?
先ほど紹介したローソンの場合は、じわじわと価格転嫁しながら乗り切ろうという考え方のようですが、実はこの方針、先駆けて値上げを行い“炎上”した競合を意識しての結果だったのかもしれません。
というのも、セブンイレブンは今年6月、リニューアルというかたちでおにぎりを全品変更したのですが、「リニューアルはいいけれど、値上げしすぎではないか」との声があがったのです。
同じ商品の値上げではなく、あくまでリニューアルです。パッケージを見ても、具材があふれ出る豪華な感じが加わってはいるのですが、価格もかなり上がりました。
たとえば「生たらこ」「北海道秋しゃけ」というように、「生」や「秋」といった付加価値がついたのですが、定番おにぎりが150円と、コンビニおにぎりとしては強気の価格設定にいつの間にか変わっています。
とくにネットで話題になったのは「すじこ」のおにぎりで、リニューアル後はなんと50円値上げの1個190円に。
さてさて、コスト分だけ5円の値上げが正しいのか。それとも、付加価値を大幅に盛ったうえで十数円の上乗せを強行するのが正しいのか。
外食やコンビニ全体で値上げ潮流が明確になっているなか、勝つのはいったいどちらの判断になるのでしょうか。