はじめに
今からの資産形成が将来大きな差に
子育て世帯にとって、目の前の住宅購入や教育費に意識が向きがちで、老後資金はまだ現実問題として捉えづらいかもしれません。けれど、並行して長期的な資産形成を行うことで、将来大きな差が生まれます。
資産形成を行う方法として、つみたてNISA(2024年以降は新NISA)、iDeCo、保険などいくつかの選択肢があります。どの方法を選択するかは各家庭の状況によりますが、住宅購入や教育費などのライフイベントに応じて資金利用の機会が多い子育て世帯にとっては、NISAを使った資産運用が比較的融通が利きやすくお勧めです。
今回のケースでは、教育費と住宅費は手元の資金である程度目途がついているため、資産運用の主な目的は老後資金です。
資産運用を初めて行う方は、積立投資から始めるのがいいでしょう。運用期間を長く取れることから、投資対象は比較的リスクを取って運用益が期待できるものを選択することも可能です。
ご主人が定年予定の60歳まで月3万円の積立投資を行い、年利5%で運用できたと想定します。すると、定年以降に積み立てた資産を取り崩していくことで老後資金の不足を補填し、家計破綻を回避することができます。
また、資産運用には資産価値を守る側面もあります。今後もインフレが続いていく可能性があり、預貯金のみで資産を保有している場合、インフレとともに資産価値が減少するリスクが高くなります。せっかくこれまで貯めてきた貯蓄の価値を維持するためにも、資産運用により資産を守る対策を行うことも必要です。
ライフプランで課題を具体化した上で手段を考える
ただし、とにかく資産運用を始めればいい、というわけではありません。資産運用がご自身のライフプランの課題解決に繋がっていることが大事なのです。
2024年から始まる新NISAでは、これまでよりも資産運用の選択肢の幅が広がることから、どんなプランで資産運用を行うかで結果には非常に大きな差が生まれます。だからこそ、資産運用の目的を具体的にした上で選択肢を選ぶ必要があります。
今回のケースのように、現在の2,000万円という貯蓄額だけを見て安心できる家計かどうかを判断するのは危険です。なぜなら長期で見ると破綻リスクを抱えているのに、ご相談者様はそのリスクにすら気付いていないからです。子どもの教育費や住宅購入など、ライフイベントを控えている方は陥りがちな罠なので、気を付けましょう。
まずはライフプランを作成して長期的な視点を持つことが大切です。そこからわかった課題の解決手段として資産運用があります。課題解決に繋がる対策を実際に行っていくことで、本当の安心感が得られるでしょう。「きっと」大丈夫と思っている家計から、一歩進んで「確実に」大丈夫な家計を目指してみませんか。
ご家族の叶えたい未来と安心感を確かなものとするために、まずは土台となるライフプランを専門家であるFPと作成することで自分では気づけないリスクに気付く、より効率的な対策が見つかるなどの効果があるでしょう。
【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)