はじめに

住宅ローンは繰上げ返済必須

次に住宅ローンです。完済時期は、相談者さんが77歳、夫が80歳。年金生活に入った後も住宅ローンの返済が続くのは大変です。繰り上げ返済をすることで返済期間を短縮し完済時期を早めることができますから、繰り上げ返済は必須です。金利から推測して変動金利の住宅ローンですね。金利上昇により利子の負担が増えるリスクも抱えています。

ただし、借入金利は0.64%とのこと。2023年中の入居であれば一般住宅でローン残高3,000万円まで住宅ローン控除の対象です(他の条件は満たしていると想定します)。ペアローンにしたことで限度額内に収まり、年末残高の0.7%が13年間、税額控除されます。利息分とほぼ同額の税金が戻ってくるので、利息の負担なしで借りているのと同じ状況です。今後、住宅ローン金利が仮に1.5%に上がっても、1.5%-0.7%=0.8%が実質負担する金利となり、まだまだ低い水準です。よほど急激な金利上昇がない限り、繰り上げ返済は13年間の控除期間が終わってからでいいでしょう。この間にしっかりと繰り上げ返済の資金を貯めておきます。この資金準備も新NISAで行います。

併せて、勤務先の退職金や企業年金の制度も確認してください。60歳以降の生活をイメージしつつ、そこから逆算して、お金の使い方と資産形成を考えます。

大きな流れとしては、1,200万円を生活防衛資金とし、NISAとiDeCoで資産を増やし、NISAから子どもの教育資金や住宅ローンの繰り上げ返済資金を出す。老後資金は、iDeCo、公的年金、勤務先の退職給付、NISA(教育資金と住宅ローンの繰り上げ返済に使った残り)です。

家計の収支をしっかり把握して

さて、現在の家計収支を細かくみてみると…。毎月の世帯の手取り75万円に対して、支出49万円、投資11万円で収支に15万円の差があります。これは使途不明金でしょうか? 共働きで子どもも小さく大変だと思いますが、家計簿アプリなどを利用して、ここをはっきりさせましょう。というのも、今後、支出が増えることはあっても減ることはないと予想されるからです。

持ち家になると、これまで不要だった固定資産税や火災保険料を払うことになります。不具合が起きたときの住宅の修繕費なども自分持ちです。また、子供の成長に伴い、食費や光熱費などの生活費も増えていきます。車を持っているので買い替え費用も必要です。相談者さんが記載されている通り、これから10年ほどはまだ家計に余力がある時期ですので、この時期にしっかり資産を増やしておくことが重要です。仮にこれから10年間、今の貯蓄ペースを維持できるなら元本で3,000万円になり、手持ちの資産と合わせて10年後の金融資産は5,000万円程度(元本)になります。

保険の内容は要確認

最後に保険の見直しを。ここまでの話は共働きによって成り立っています。夫婦ともに一定の死亡保障を確保しておいた方がいいでしょう。保険料が毎月7万円でかなり高めですが、内容はどうなっているのでしょうか。住宅ローンを組むことで、それぞれのローン分には保障が付きます。合理的な保険料で必要な保障が確保されているかを確認してください。

投資額は今のままのペースで、もし不安を感じる場合は、リスクが低めの投資信託を選ぶなど投資の内容で調整しましょう。

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