はじめに
保険加入の際は目的を明確に
生命保険の相談を受けた際には、まず保険加入の目的をお尋ねします。今回の2つのケースに共通している問題点は、加入の目的があいまいであったという点です。どちらも営業担当者にすすめられて「なんとなく良さそうだから」という理由で、加入の検討や加入したことが原因でした。
誤解しないでいただきたいのが、外貨建て保険に入ってはいけないと言っているのではありません。たとえば、将来子どもが留学する予定があるなど外貨を使う明確な目的がある場合、外貨建て保険はおすすめです。
外貨建ての生命保険に限ったことではありませんが、保険加入の際は自身のライフプランに合致した内容になっていることが大切です。生命保険の保険料は長い人生において、トータルで考えると非常に高額な負担となります。営業担当にすすめられたからと受け身のままではなく、自分が何のために保険加入を検討しているのか、目的を明確にし、自分にとっての最適解を考えることが必要です。
NISAなど保険以外の選択も
加入目的を明確にした上で保険加入を考えると同時に、もうひとつ大切にしていただきたいのが広い視野を持つことです。ケース①の相談者は、いくつかの保険会社から資料を取り寄せて比較検討していたものの、保険以外の選択肢を考えていませんでした。
生命保険の主たる目的は万が一の場合に備えての保障です。しかし、ケース①の相談者の場合、万が一の保証は必要としておらず、資産運用が目的とのことでした。資産形成の選択肢は、NISAやiDeCoなどといった税制面で優遇のある選択肢を含め、他にも色々と考えられます。この相談者は、ライフプランを作成し、改めていつどこで資産が必要かを考え直しました。検討の結果、外貨建ての生命保険ではなくNISAを活用して積立投資を始めることになりました。
保険に限らず金融商品選択の際には、メリット・デメリットの両面から比較検討するとともに、「目的はなんなのか?」「ライフプランに合っているか?」といったことを、今一度自分自身に問いかけてみることをおすすめします。
【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)