はじめに
投資する目的
そもそも、投資をする目的は何なのでしょうか。図表4にあるとおり、高齢になるほど「老後資金をつくるため」が多くなる一方、若い人ほど「資産を増やす」あるいは「特に目的なし」が多いです。「起業資金を準備するため」「社会情勢を知るため」「社会貢献をするため」がZ世代でやや多いのも注目です。
図表4 投資をする目的
投資しない理由
逆に、投資をしていない人にその理由を聞いたのが図表5です。これにも傾向があります。「資金が減るのが嫌」「まとまった資金がない」といった金銭系の理由は男性、そして年齢が高い人に多いことがわかります。「何をすればよいのかわからない」「いろいろ勉強しなければならない」といった知識系の理由は女性、そして若い層に多いですね。
図表5 投資をしない理由
投資を増やした理由 vs 減らした理由
投資をしている人の中でも、ここ1年で投資金額を増やした人もいれば、減らした人もいます。それぞれの理由を聞いた結果が図表6です。
図表6 投資を増やした理由vs減らした理由
2023年は日本株高や円安、インフレが進みました。特に目についたのはインフレの影響です。投資を増やした人の理由で最も多かったのは「インフレが進み、預貯金だけでは資産が目減りしてしまう」です。特に高齢層の選択率が高かったです。彼らは過去にインフレを体感したことのある世代であり、その経験値が働いているのでしょう。
一方、投資を減らした人の理由で最も多かったのは「支出が増えて投資に回せるお金が減った」です。特に家計を支える中堅層の回答が多かったです。支出増はインフレがきっかけであることが推測できます。同じ要因でも置かれた状況によって、行動が真逆になるのは興味深いところですね。
同じことが「株式相場や為替の変動が激しかった」にもあてはまります。これを好機ととらえた人は投資額を増やし、怖くなった人は投資額を減らしています。
また、若い世代は収入の増減が投資額の増減と強い関係がありました。2024年度も賃上げが続く公算が高いです。1万人アンケートの結果に基づく限り、若年層の投資はさらに盛んになると予想されます。
皆さんは投資をするにあたって、どのようなことを考えていますか。働く1万人と同じところ、違うところがそれぞれあったと思います。これらのデータを横目で見ながら、2024年の投資計画を策定していかれるといいでしょう。