はじめに
債権と金利の関係
金利には期間によって長期金利と短期金利があります。前述したように金利動向によってマーケットは大きく動くため、投資を行う際に金利はとても重要です。長期金利とは期間が1年以上ある債券の金利のことを示しますが、経済ニュースなどで報じられる長期金利は「10年物国債の利回り」を示すことが一般的です。
期間が1年未満の債券の金利は「短期金利」と呼ばれます。利回りは、債券を発行したときの宣言された利率(表面利率)とは異なり、常に変動します。これは、債券価格が満期に達するまで、常に変動するためです。つまり、債券は満期になると特定の価格で償還されますが、それまでは価格が変動し続けます。
債券には金利が上昇すると債券価格が下がり、金利が低下すると債券価格が上がるという特徴があります。そのため利下げ局面では債券を買うことが投資の行動として合理的だと言えます。
ではなぜ金利が上昇すると債券価格が下がり、金利が低下すると債券価格が上がるのでしょうか。
例えば、保有している債券の金利が1%だとして、現在の金利が2%だとしましょう。この場合、保有している債券よりもこれから発行される債券の方が金利は高いため、保有している債券を売却するためには債券価格を下げる必要があります。また、保有している債券の金利が1%だとして、現在の金利が0.1%だとしましょう。このケースでは、保有している債券よりもこれから発行される債券の方が金利は低いため、保有している債券は高く売却できるので債券価格は上昇するのです。
債券は、満期まで保有すればあらかじめ決められた価格で戻ってきます。ただし、途中で売却する場合は、絶えず債券価格が変動しているので注意が必要です。債券価格を決める主な要因は金利になりますので、金利情勢についてはしっかり確認しておきましょう。また市場金利に完全には連動しないのは、需給関係や信用リスクの変化の影響もあるためです。投資を検討される方は押さえておいてください。
日米の今後の金利は?
最後に、2023年末時点の日米の状況を紹介しておきましょう。
12月18日の週は週足で主要3指数は上昇。ダウ平均は8週連続で上昇しており、週足で4年10カ月ぶりの連騰記録をつけました。米市場が過去最高値を超えて上昇していくその背景にはFRB(米連邦準備理事会)がハト派転換したこと、長期金利の下落があります。
12月13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を5.25〜5.5%と3会合連続で据え置いたほか、今回の利上げサイクル終了の可能性が示され、2024年に利下げに転じるとの予想が強まりました。2024年末の政策金利が参加者の中央値で4.6%と現在の金利水準から0.25%換算で3回利下げする状態となり、9月に公表した前回の見通しでの利下げの2回分から利下げの回数の予想も増えています。
日本では12月19日に日銀金融政策決定会合がありましたが、日銀が現行の大規模金融緩和政策を継続することや、植田総裁も利上げに慎重な姿勢だったことで、株式市場では買い戻す動きが優勢となりました。
いかがでしたか?
ぜひ金利と株価の関係を把握して皆様の投資に活かしてくださいね。
私事となりますが今年も毎週休まず連載できて嬉しかったですし、読んでくださる皆様に心から感謝です。本当にありがとうございました!
良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いいたします。
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