はじめに
金融危機時には中央銀行は金利を下げる
ここからは過去の例を挙げてご説明していきます。
2008年9月のサブプライムローンが金融危機を招いたリーマン・ショック後は、米国のみならず先進国を中心として多くの国で中央銀行が金利を大幅に引き下げ、大量の資金供給政策を講じました。金融危機後、多くの国で中央銀行が金利を大幅に引き下げました。この低金利環境は株式市場の回復を支援しました。
また2020年のCOVID-19パンデミックの際は、歴史上初めて各国の経済活動がほぼ停止状態になりました。その際にも各国の中央銀行は金利を引き下げたり量的緩和を実施しました。「異次元の金融緩和」と言われる政策などを受けて株価も急回復しました。
ただアメリカ市場では2022年に利上げ(金利を上げる政策)をしたことによって下落に転じました。
利上げにはインフレが関係
アメリカ市場で2022年に利上げに転じた背景には物価の上昇(インフレ)があります。金利はインフレに対する中央銀行の対応にも密接に関連しています。インフレが進むと、中央銀行は金利を引き上げることが多く、これが株価に影響を与えます。特にアメリカの中央銀行であるFRBは、米国の雇用の最大化、物価の安定化をミッションとしているため、インフレになると金融政策(利上げ)を行い、消費を抑え、物価の安定化を図るのです。
投資家の心理状況にも影響
実際の金利変動だけでなく、市場の期待も重要です。市場参加者が将来の金利上昇や低下を予想すると、その予想に基づいて株価が動くことがあります。2023年末の株高はまさにこれから金利が下がる期待感から上がったわけですね。また金利の上昇局面では投資家の警戒心が高まることで投資家の物色の矛先がグロース株よりバリュー株に向く傾向があります。
金利変動が株価に与える影響は、経済状況やその時点での市場のセンチメント(心理状況)によって異なります。たとえば、経済が好調な時に金利が上昇しても、株価にはそれほど悪影響を与えないことがあります。
金利の変動は株式市場に大きな影響を及ぼす要因の一つです。金利が上昇すると、通常は株価が下落する傾向がありますが、この関係は複数の要因によって変わることがあります。投資家としては、金利の動きだけでなく、経済全体の状況、市場の期待、および政策決定者の行動を注視することが重要です。